沖縄移住応援WEBマガジン「おきなわマグネット」

「アイデアは実行することに価値がある。新事業を生み出す仕掛け人」沖縄テレビ開発営業企画部 新里一樹さん

ナガハマ ヒロキ

2020.03.09

「沖縄テレビ開発営業企画部」と聞くと『映像を作る仕事』に携わっている…そう思いますよね?

しかし、新里さんはこれまで、テレビを作る仕事は1秒もしたことがないと話します。

担当部署で取り組むのはテレビではなく、新規事業の企画・立案。新里さんが夢中になっていることや数々のプロジェクト、そして胸に秘めている座右の銘をワクワクした表情で教えてくれました。

見つけて、広めることにわくわくし続ける新里さんの働き方

新里さん

浮かんだ発想を形にする仕事なので、四六時中アンテナを張って考えるようにしていますね。「何で今これが面白いと思ったのだろう」とか「これとこれを組み合わせたらもっと楽しくなるなぁ」とか

ナガハマ

常に仕事脳がONの状態ですね

新里さん

「素晴らしいの見つけた!広めたい!しかも楽しく!」という具合ですね。今日は、僕が夢中になっている仕事の話を聞いてもらって良いですか?

ナガハマ

もちろんです!

新里さんが夢中になっているもの①:クーガ芋を広める!

新里さん

近いうち訪れる人生100年時代、健康ってますます大事だと思うんですよね

ナガハマ

僕も60代70代になってもバリバリの現役で居たいです

新里さん

クーガ芋って知っていますか?ものすごく栄養価の高くて『畑のうなぎ』って呼ばれているほどなんですよ。実際に、ほのかに甘みもあってこれが美味しいんですよ

 

[提供写真]別名トゲドコロとも言う。

 

新里さん

食品開発を画策していた中、素材は“地のもの”を使いたかったんです。これまで埋もれてしまっていた沖縄食材はないかとリサーチした結果見つけまして、知れば知るほど魅力的でした。その魅力にはまって『おきなわクーガ芋プロジェクト』という産学連携の取組を、沖縄テレビ開発(商品開発・流通)×立命館大学(効果実証)×生産農家で進めています

 

[提供写真]

 

ナガハマ

協業先との連携はどのようにして行ったんですか

 

新里さん

すでにクーガ芋を用いた生理学の研究をしている教授の存在を知って、すぐに滋賀まで会いに行きました。2月の寒い時期です。手土産で“くんぺん”持って行ったんですよ

 

ナガハマ

これはまたクラシックな手土産ですね

 

新里さん

それが研究室を開けたら、目の前にシーサーが置いてありまして。沖縄好きで何度も訪れていたそうで、喜んでもらえて!

 

ナガハマ

最初のファインプレーでしたね

 

新里さん

僕が沖縄の経済、特に一次産業従事者の所得向上に関する話をしたら、そこの情熱に共感してくれて、なんと実用化に向けた研究にも協力可能ですと仰っていただきました。ゼロから進めるつもりだったのが、スタート地点をだいぶ先の方から始めることができました

 

ナガハマ

農家さんに対してはどうでしたか?

 

新里さん

素材がないとこっちも進まないので、取引だけでの関係ではなくて、チームでやっていきたいという想いを伝えました。『茶飲み話だけでも』と足繁く通って、信頼してもらえるように丁寧に丁寧に

 

ナガハマ

新里さんの情熱で周りが動いてくれたわけなんですねぇ

新里さん

読谷村にクーガ芋の大規模生産をしている方が2人居るんですが、自らのことを『G・Gプロジェクト』と名乗っています。“ジジイが2人だからG・G”っていう最高の理由なんですけど(笑)彼らから周りの農家さんに声を掛け、収量拡大を図って頂いています。

 

ナガハマ

クーガ芋が普及したら、お二人は令和の野國総管ですね!

※野総管…琉球王国時代にサツマイモ栽培を始めた偉人。

 

[提供写真]GGプロジェクトの共同代表である、松田栄さん(中央)と高良和夫さん(右)のお2人

新里さんが夢中になっているもの②:沖縄クラフトジンのPR

とにかく惚れ込んだものは、徹底して人に教えたくなってしまう性分の新里さん。アフター5にも夢中になっているものがあるそうで…

新里さん

沖縄のクラフトジンです!初めて飲んだところ衝撃的な美味しさで、嘘みたいですけど『うんま~』って言っちゃってました

 

ナガハマ

本当に人間『うんま~』って言うんですね!

 

新里さん

沖縄でもこんなにハイレベルなジンが作れるのかぁって感心してしまいまして

ナガハマ

新里さん、仕掛け癖があるのは知っています…どう仕掛けたんですか?

 

新里さん

すぐに試飲イベントを開催しました(笑)

 

ナガハマ

虜になってアクセル踏むまでが早いですね!

 

新里さん

感度が高い人はすでにクラフトジンに注目してくれていたみたいで、40人定員のところ70人来ました。本当に、ジンが美味しすぎて勝手にPRをしているって感じです

 

[提供写真]瑞穂酒造・石川酒造所・まさひろ酒造が作ったクラフトジンの飲み比べをしたり開発担当者のミニセミナーが行われた。byオキナワポータル(那覇市泉崎)

 

新里さん

沖縄にはすでに泡盛文化があります。地酒をジン特有の香りであるジュニパーベリーで香り付けをしたらそれは立派なジンです。亜熱帯植物もたくさんあり、個性的な香り付けもできますし、オリジナリティの宝庫です

 

ナガハマ

あ、新里さん。今日僕、バスで来ました

 

新里さん

あ、僕もゆいレールで来ました

 

 

飲もうよ。

 

新里さん

どのクラフトジンも特徴的なので全て呑み比べして欲しいですけど…。例えば瑞穂酒造の『ORI-GIN』おすすめはジントニック。トニックウォーターは絶対にシュウェップスのやつね!絶対にシュウェップスね!!

ナガハマ

ぅま…うーまー!!

え、何これ。ファーストコンタクトから柔らかい。2列目から柑橘系だろう爽やかさが飛び込んできて、スッキリした後味ながら最後にそっとスパイスを残していく感じ…

新里さん

ね!紹介したくなる美味しさでしょ!?

新里さん

この沖縄クラフトジンは、沖縄の恵みやエッセンスが全て凝縮されています!世界を相手に勝負できるスター商品になるポテンシャルです!

みなぎっている新里さんの座右の銘は!

人が好きなことについて語っている時って、こっちも楽しくなりますよね!

クーガ芋に、沖縄クラフトジン。どちらも始まりは偶然の出会いから。能動的に魅力を発信し続けているそのモチベーションと、仕事で大切にしているコトとは。

新里さん

行動指針は『人生常にチャレンジ』。この言葉は中2の時の担任に貰った言葉で、今でも自分の座右の銘です。アイデアというのは、思い浮ぶだけじゃなくてイチかバチかでも良いから実行することに価値があると思っています。まずはチャレンジする精神が大事。僕は僕ができる可能性が1%でもあれば挑戦してみようと思っていつも行動しています

ナガハマ

しかし、新里さん。これだけ連続でアイデアを仕掛けていくと、時間はいくらあっても足りないんじゃないですか?

 

新里さん

頭は常にONなんですけど、定時にはキッチリ帰るようにしています。前日からスケジュールを段取って、ムダ無く過程をこなしていって、最後はピッタリとフィニッシュ!定時に帰る目的は、家族との団らんの時間ですね。やっぱり一番楽しいしホッとする時間です

 

[提供写真]

 

インタビューの途中ですが、自然と始まった子どもの写真見せ合いタイム。

くぅ~、ひょ~。仕事人新里氏から『かずきおとうさん』に一瞬で変わりました。

溢れ出るバイタリティをぶつけるかのように、本業の他にも、アフター5で好きな商品をPR。

この逞しいまでの「没頭力」。仕事をやらされているのではなく、やりにいっている姿勢の人に敵う人はいません。

「アイデアを形に」という新里さんの座右の銘。そうだ、あなたの頭の中に眠っているアイデアも、あなたに仕掛けられるのを待っているかも知れませんよ。

 

<取材・文:ナガハマヒロキ/撮影:蓮池ヒロ>