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みなさんこんにちは!泡盛じょーぐー(沖縄方言で「大好き」の意味)ライターのクダカです。
2017年が嵐のように過ぎ去り、いろんなことがあったな……なんて振り返る暇もなく、気が付けば2018年!いつもよりひんやりとしたお正月になりましたが、みなさんいかがお過ごしでしたか?
2018年最初の記事は、2017年最後に取材したイベントのレポートをお届け♪本年もよろしくお願いします!
沖縄の逸品と運命の出会い!南の島の蚤の市、オキナワマルクトとは?
2017年12月16日(土)・17日(日)、那覇市安里にある「さいおんスクエア」にて、おもしろい催し物をやると聞きつけ、さっそく出かけてみました。
イベントの名前は『オキナワマルクト2017』。ちょっと聞き慣れない「マルクト」とは、ドイツ語で「マーケット」のこと。ドイツやオーストリアの都市の広場で12月頃になると行われる「クリスマスマーケット」を指すことが多く、ヨーロッパではおなじみのイベントです。
当日は55ものブースが並び、2日間で入れ替えもあったので合計60の店舗が出店。また、ステージでは、本場のクリスマスマーケットのように、踊りやライブをはじめ様々なパフォーマンスが繰り広げられました。
こんな素敵なイベント、どんな方がどんな想いで始めたんだろう?
公式ブログをのぞいてみると、なんでも今年で3回目を迎えるできたてホヤホヤなイベントな様子。さらに読んでいくと、会社や団体が開催している訳でなく、宜野湾市にあるアンティークショップの店主が主催しているよう。
こ、これは話を聞いてみたい……!
はやる気持ちを抑えきれず、イベントの翌々日、まだまだお疲れなはずの主催者を直撃!イベントを立ち上げたきっかけなど、あれこれ質問してみました。
オキナワマルクトの仕掛け人に会いに、宜野湾のアンティークショップ「20世紀ハイツ」へ
この日、オキナワマルクトのお話を聞くべく訪れたのは、宜野湾市大謝名にあるアンティークショップ「20世紀ハイツ」です。
お店は見晴らしの良い高台に建てられた外人住宅(もともと在日米軍の軍人やその家族のために建設された住宅のこと)で、四角い箱形の外観がキュート!
ワクワクしながらお店に入るとさっそく、よく手入れされたレザーのバックや、品の良いカップ&ソーサーなどが目に飛び込んで来ました。4LDKの広さの店内には、品の良いアンティークが所狭しと並んでいます。
扱っている商品は、店名の通り、20世紀に作られた物をメインに、テーブルウェア・ジュエリー・おもちゃ・雑貨・和物骨董など、店主・須藤さんが心惹かれたものばかり。
外人住宅らしい幅狭の廊下までアンティークがあふれ出していて、目移りしてしまうっ!今となっては懐かしい、昭和のおもちゃなどもあって夢中になってしまいました。それでは早速須藤さんにお話を聞いてみたいと思います!
オキナワマルクトの主催者須藤さんに聞く、東京から移住をしてお店とイベントを始めた理由とは?
初めてお店に来たのですが、素敵な所ですね。
この窓から見える空、海、街、目の前の森の緑がある景色がすごく好きで。
でも、ここ分かりづらかったでしょ?お客さんに「あんた商売やる気あるの?」って怒られたりするもんね(笑)
最初は那覇で物件を探したんですけど、なかなかピンと来なくて。友だちから「沖縄は車社会だからどこでも関係ないよ」って言われて、外人住宅にしぼって探したんです。
本当に絶景で感動しました!!この景色を楽しめるなら毎日でも来たいです!!(笑)。ところで、沖縄にはいつ頃いらっしゃったんですか?
2012年に移住して来たので、丸5年経ちました。
沖縄に来ることになった経緯を教えてください。
もともと、井の頭公園で骨董品店をやってたんですよ。震災があって、いろいろ考えさせられて……。
移住先は、京都、岡山もふくめていろいろ考えたんです。で、妻が沖縄出身なんですけど(「20世紀ハイツ 那覇店」の店長をされています)、彼女の実家の離れの赤瓦の古民家が空いていて。
本当に素敵な所で、そこに住みたいなと。本当はおじいになってから沖縄に来る予定だったけど、ちょっと早めて店ごと引っ越しました。
須藤さんは最初から骨董品店をされていたんですか?
もともとアンティークの家具の修理をやりたくて修行に入ったんだけど、人を雇わないといけないし倉庫も借りなきゃいけないし、ものすごいコストかかることに気付いて、歳とったらできないと思って。そこから、ジャズ喫茶をやるのが夢に(笑)
この宜野湾のお店は、まさにその形に近いですよね!(笑)
年に一度のオキナワマルクトを始めたきっかけは?
「オキナワマルクト2017」、とっても素敵なイベントでした!
1日目の夕方に大雨になっちゃったんですけど、それでも去年よりたくさんの方に来ていただいたみたいです。うれしいですね。
着物のお店が多かったりっていう出店の様子とか、客層もなんですけど、なんだか他の野外イベントとは違った雰囲気だなっていう印象でした。
そうですね、子連れのお客さんが少ないのかな。場所柄もあると思うんだけど、割と観光客が見て行ってくれる。あと、ファッションに気を使っているお客さんも多いかな。
出店のブースはね、とにかくいろんなものの良さに触れてほしくて。全体のバランスとかも考えながらね。着物を売っているおじいちゃんとかいたでしょ。骨董市のメンバーなんです。
なるほど!須藤さんがマーケット全体のバランスも考えていらっしゃるから、全体的に心地よい雰囲気を感じたのかもしれないですね!でも、なぜこのイベントを始めたんですか?
オキナワマルクトをスタートする前に、アンティークだけの形でイベントをやったんです。でも、アンティークだけだとアンティーク好きな人しか来ないし、県内だとアンティークのお店もほとんどない。
もうちょっと蚤の市というかそういうのを浸透させたいって思っていて、僕が移住者だから、いろんな業種の人、知り合いを広げたいっていう個人的な理由もあった。いろいろ考えて、今のスタイルに落ち着きました。
「蚤の市を浸透させたい」ですか…
最近ね、みんな物欲がなくなってるなって感じるんです。でも、いいモノっていいじゃない。
たぶん、うちのお店みたいな所にザッと並んでいてもなかなか買わないけど、見せ方とか場所が変わって、ああいう雰囲気の中でポッと飾ってあると「わーー!」って。そのモノの良さに気付いて買っちゃったりすると思うんです。
それと、沖縄では、アンティークの良さがあまり浸透してないことも感じる。だからそういう場所にアンティークがあることで、雑貨屋めぐりが好きな方とかに良さを発見してもらいたい。
ステージも盛り上がってましたね!
そうですね。10組出演してもらいました。ヨーロッパのクリスマスマーケットって、幸せなことばかりじゃないんです。現地の雰囲気そのものを表現したいと思って、表現者の方にも来てもらった。
沖縄県の大山出身の「知念ハル」さん、素晴らしかったです。もともと「知念大地」の名前で大道芸をやってたんですけど、道具全部燃やして表現一本でやっていくって決めている方で。他の出演者のステージの合間に、会場でずっと表現をしてくれて。
みんな彼を不審者だと思ったみたいで「警察に通報した方がいいんじゃないでしょうか?」って言われたりとかして、狙い通りでしたね(笑)
沖縄の印象は一言では言えないな。それが印象。
オキナワマルクトにかける、須藤さんの想いを聞かせてください。
僕がイベントの主催をやっている意義があるとしたら、さっき言った骨董市みたいな場所にも顔を出しているし、同じ年代の人たちの集まりにも顔を出しているし、着物の方とかにも顔を出しているし、歌をやっているからミュージシャンとも繋がっていることかな。
沖縄ってね、ちょうどいい広さだと思うんです。これ以上狭かったら窮屈だけど(笑)。知り合いの知り合いみたいな繫がりも多いし、いろんな業種の人たちとか、なんとなくこう近いところにある人たちがわっと繋がればおもしろいなと思ってて。
それは東京じゃ絶対できないのね。あれだけ広いと異業種がひとつの場に集まることがあまりなくて、骨董は骨董、ギャラリーさんはギャラリーさんってかたまってしまう。実際、このイベントをきっかけに人と人がどんどん繋がっていって、知り合った人たちがコラボしてるらしくて。
そういうの、うれしいですね〜!
知らない世界のことを知れたり、繋がることは財産ですよね。沖縄でいろんな輪が広がっていくのが楽しいです。あともうひとつは、全国各地にあるセンスの良い雑貨屋さんとか古道具のお店も呼んで、横に繋がっていけたらおもしろいなと思ってます。
先ほどから、沖縄のことを考えてくれているなと感じていたんですが、沖縄ってどんな場所だと感じますか?
沖縄の印象は一言では言えないな。それが印象。他の地域は一言で表現できる気がするけど、住んでみたら住むほど難しい。オンリーワンな場所ですよね。
須藤さんにとっての沖縄は、「青い海、青い空」とかではないんですね。
そう。骨董的な意味でもおもしろくて。戦後、何もなくなっちゃった時代、戦車とかヘルメットとかはあるでしょ。それで、ジュラルミンを溶かして生活用具を作ったんですよ。ジュラルミン製のおはしとかヤカンとか、薬莢で作った花活けとか、僕は「オキナワンアンティーク」って呼んでるけど。
世界広しといえど、こういったものは確実に沖縄にしかない。骨董屋としてはすごく魅力を感じます。
オキナワンアンティーク…!沖縄県民なのに、全然知りませんでした!最後に、今後の展望を教えてください。
オキナワマルクトは、沖縄だけじゃなくて各地からいろんな人が集まって来て、年に1度のお祭りというか「おつかれさま」という感じで楽しめればいいな。そういう形を今後実現させたいですね。ある程度育ったら誰かに任せてもいいとも思ってます。
個人的には、実は今、人生で一カ所にいるのが一番長いんですよ。いつも、物件だったり街に飽きちゃって引っ越しちゃうから。この先どうなるのかな?って自分へのワクワク感もあります。
20世紀ハイツの公式サイトのトップページには、こうあります。
「人の手によってつくられて来たあたたかいモノに、もう一度光を当ててあげたい」
アンティークやモノに対する想いや、このイベントに対するアツい気持ちを聞かせていただき、お話する前の何倍もさらに「オキナワマルクトってかっこいい!」と思いました。
須藤さんありがとうございました!
『アンティーク・レトロ・骨董+カフェ 20世紀ハイツ』
住所:宜野湾市大謝名2-17-7
URL:http://www.20century-heights.com/
TEL:098- 963-9349
営業時間:11〜18時
定休日:毎週水曜日、日曜日
「オキナワマルクト2017」に出店していた素敵なお店をご紹介
「どんなイベントなのか気になってた!」
「当日行きたかったけど行けなかった」
そんな方もいたのではないでしょうか?全部のブースは紹介できないのですが、取材に出かけた12/17(日)に出店していたお店を何軒かご紹介します。
廃材から生まれた可愛い雑貨に出会える「toncati(トンカチ)」
「色とりどりの木で作られた雑貨だ、かわいいな」そう思って眺めていたら、なんとすべて廃材などでできていると言うではありませんか!もうびっくり!このセンス!!
和歌山県で生まれ、東京にて独学で家具を製作していた瀧田さん。旅行で訪れた沖縄を好きになり、ちょうどいろいろなタイミングが重なってポンっと移住して来たのだと言います。
“もったいない”と“いただきます”という、おばあちゃんに教わった考え方を今でも大切に。友人の大工さんからもらった廃材や、捨てられなくて溜めていた新聞の広告などで、空間をいろどるいろいろを製作しています。
『toncati』
住所:那覇市松尾2-9-1
URL:http://toncati.com/
TEL:098-868-9288
営業時間:10〜12時、13〜18時
定休日:不定休
職人がひとつひとつ心を込めて作る、レザーと真鍮雑貨のお店「anshare(あんしぇや)」
那覇で個性的な路面店が並ぶ浮島通りにある、レザーと真鍮の雑貨を扱う「anshare」。「野外イベントではあまり見かけないような気がするな」と声をおかけしたら、オーナーの上原さんが素敵な笑顔で答えてくれました。
「もともとアンティークが好きなんです。お店もそういう雰囲気を目指してて。他のところではあまり出店しないんですけど、アンティークショップが主催するイベントだったらおもしろいかなと思って。」
主催者である須藤さんの想いが、出店するみなさんにも伝わっているんだなぁ。そんなところが垣間見えた瞬間でした。
「anshare」で扱っているアクセサリー「Emizoku by Eg(エミゾクバイイージー)」の原田さんも、拠点としている福岡から駆けつけ、沖縄の蚤の市を楽しんでいました。
『レザークラフトショップ anshare』
住所:那覇市松尾2-12-8
URL:http://anshareproject.com/
TEL:098-869-1448
営業時間:10時半〜20時
定休日:水曜日
幕末以降の日本古布を扱う「昔古布工房tunami」
最近、日本の古い布が、イギリスやヨーロッパでも注目されているのだそう!
そんな驚きの情報を教えてくれたのが、2018年から嘉手納町に店舗をオープンする「昔古布工房tunami」さん。新潟、仙台、山形などで仕入れた、日本の幕末~昭和初期までのアンティーク古布を使い、つぎはぎの地下足袋やリメイク衣類を製作・販売するそうです。
『昔古布工房Tsunami』
住所:2018年から嘉手納町にてオープン予定
URL:facebook.com/昔古布工房
TEL:098-955-7190
問合わせ:tsunami_mass@yahoo.ne.jp
12月に開催された『オキナワマルクト2017』。縁あって沖縄に移住して来たアンティークショップの店主・須藤さんが主催する、こだわりの詰まったイベントでした。
出店者のみなさんも、その想いに応えるように素敵なブースを展開。
そしてまた、遊びに来るお客さんも、真剣にいいものを探している。「なるほどーー!これが沖縄流の蚤の市か!」と、こちらまで楽しくなってしまうような雰囲気があふれていました。
毎年12月に開催予定だそうで、これから沖縄の冬の風物詩になりそうです!2018年はまだ始まったばかりではありますが、『オキナワマルクト2018』を楽しみに待ちましょう〜!