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こんにちわ、ライターの水澤です。
8月に入り、いよいよ音楽フェスや野外ライブが増えてきますよね。
みなさんは、音楽は好きですか?
僕は好きです。音楽好きの友達がこんなにもいますから……。
(音楽が好きなやつは、だいたい友達)
今回は、沖縄本島の中で、戦後音楽が根付いてきた街「沖縄市」に来ています。
ぼくは、8月からスタートしました沖縄市一番街にある「Startup Cafe Koza(スタートアップカフェコザ)」のオープニングイベント「Startup Champloo PROXIMO」に行ってきました。
スタートアップカフェコザってなに?
福岡から始まった「スタートアップカフェ」、みなさんはスタートアップって聞いたことがありますか。Googleといった、IT技術やデジタル開発など、新しいサービスや仕組みを生み出す集団のことをいいます。
「でた―、シリコンバレーでしょ?」いえいえ、沖縄市ですよ。
8月より、「TSUTAYA九州カンパニー」が中心になって、沖縄市に創業・起業をワンストップで支援する拠点が誕生しました。
コンセプトは人材育成。
日本マイクロソフトの最新通信技術(ICT)や3DプリンターといったIT技術を体験できるプログラムがあります。さらに、クラウドソーシングサービスのクラウドワークスを使って、東京の仕事を直接受注して、本格的なWebの学習と仕事をセットにして学べるところなんです。
あー、カンセツ照明がおしゃれだな。
うわさの3Dプリンターも、技術担当者から教えてもらえます。
これから、イケイケのスタートアップが育っていくんですね。ぼくも次回の記事は、「3Dプリンターを使って、かわいい女の子を再現してみた」で決まりです。
地方でもスタートアップが輩出できるのか? 「Startup Champloo PROXIMO」イベントレポート
(DJが盛り上げる会場。ライブが始まりそうな雰囲気!!)
さて、会場のミュージックタウン音市場で行われたイベントには、約280名の参加者がいました。県内で若手の起業を志す人、沖縄市行政団体、県内新聞社、県外Webメディア、「098TV」といったマスメディアのかたなどがいらっしゃって、注目の高さを伺えます。
でも、はじめに疑問に思うことがありますよね。
「なぜ、沖縄市で行うのか?」
ぼくも、最初耳にしたとき、何かの聞き間違いだと思ったほどです。
なぜなら、沖縄の玄関、空港がある那覇市があるじゃないですか? 沖縄の観光スポット、沖縄美ら海水族館があるやんばるがあるじゃないですか?
どうして沖縄市なんだろうと思う人も少なくないはずですよね。
スタートアップカフェコザ、創業の中村氏は次のように語りました。
「もともと、福岡でスタートアップカフェに携わってきて、地方それぞれが持つ特色がスタートアップ支援に必要だと感じています。
沖縄市は、他の地域が真似できないようなアーティスティックな文化があります。音楽のまちとして、プラスアルファで音を楽しむ文化。そして、学生のときからダンスやバンドに取り組み、自分たちを表現できる環境。
新しいことを挑戦する人たちをリスペクトし合える風土もあります。そんな場所だから、人と人がつながり、スタートアップを応援し合える場ができると信じています」(中村氏)
「Think Big(思いを強く)」 沖縄市から世界を良くしたい
孫泰蔵氏がまずは登場!!
お兄さんのソフトバンク代表、孫正義氏が有名すぎます。でも、泰蔵氏の実績を知らない人も多いですよね。
泰蔵氏は、1996年にYahoo!Japanの立ちあげに関わったり、みなさんご存じのパズドラ「ガンホー」の会長を務めたり、さらに投資家の一面を持ったりとさまざまです。
泰蔵氏は自身のことを「失敗の天才」と評して、沖縄市から世界に羽ばたく起業家にエールを送りました。
孫泰蔵氏:ぼくは、今まで多くの失敗を重ねてきました。それが、大きな勲章として力を与えてくれます。
たとえ、世界で名だたる起業家に会ったとしても『失敗した数では負けんぞ』と強い意思を貫き、交渉してきました。
だから、沖縄に住む起業家に伝えたいこと、もっと失敗しよう。失敗を積み重ねて世界をよくするようなサービスを生み出していこう。
『Think Big』、沖縄から世界を変えていく。そんな志を持ちましょう。
時代の変革期に突入 音楽の街だからできること
ここからは、「Music & Internet」「Digital Fabrication」「Next Working」「Startup In Okinawa」をテーマに、各著名人をお呼びしたトークセッションになります。
最初に、「Music & Internet」のテーマとして、モデレータは日本マイクロソフトエバンジェリストの砂金信一郎氏。登壇者は、沖縄市コザ出身で沖縄音楽のパイオニア「りんけんバンド」照屋林賢氏と音楽コミュニティアプリ「nana」代表の文原明臣氏です。
音楽や情報にお金をかけない、インターネットやSNSから無料でダウンロードできる時代に入り、いかに価値を作っているか、これから生き抜くために必要不可欠です。
文原氏:nanaは、10代の女性を中心に200万ダウンロードを達成したばかりです。でもまだまだ、儲かっていない。音楽スタートアップもそうですが、起業したばかりは儲からないし、ほとんどの人がそこで脱落します。僕には夢があります。nanaを通して、世界中の人とつながり『We are World』を歌い上げたい。そんな夢を思い続けられる人が成功すると思います。
砂金氏:マイクロソフトに勤めていますが、どんなに大手企業が参入していても、時代の変わり目によって手薄になるところがあります。スタートアップでも、大手企業の隙というか、参入できないところを見つけて、サービスを実現化することで、まだまだ勝機は十分にあります。
音楽の収益源として、今まではレコードやCDから、そしてiTuneといったデジタルミュージックに移行して、業界が様変わりしました。わたしたち、ミュージシャンもうかうかしてられません。ライブやフェスといったその場に行かないと体験できない、付加価値を作る。スタートアップチャンプルーのようなイベントでつながることも、可能性を広げるチャンスになっていくでしょう。
日本の町工場から、デジタル工場の育成へ
続いて、「Digital Fabrication」のテーマとして、モデレータは3Dプリンタの先駆者「ケイズデザインラボ」代表の原雄司氏。3Dデザインツール「オートデスク株式会社」の塩澤豊氏とスタートアップカフェコザに併設される「沖縄ミライファクトリー」の西村大氏のトークセッションになります。
日本のモノづくりを支えてきた、日本の町工場。2012年、3Dプリンターはじめモノづくりにデジタルが参入したとき、奇しくも足かせになったのは職人たちの誇りとする技術です。
原氏:現在、子どもたちが3Dプリンターを使って、夏休みの宿題を作れてしまう時代です。一方で、最新技術が、今まで働いてきた職人たちの仕事を奪ってしまう、そんな懸念を抱く人も少なくないでしょう。お互いが歩み寄るような、新しいモノづくり文化を作っていくのが必要です。
塩澤氏:実は、何十年前にも3Dプリンターやデザインを形にするツールがあったことはご存じでしょうか? しかし、当時使用料だけでも、1000万円以上のコストがかかる時代でした。現在、そういったツールがほとんど無料で使えます。しかも、ネットを見れば、使い方も載っています。個人で何を作りたいか、カタチにするツールは揃っているので、どんどんモノ作りに挑戦してほしい。
西村氏:私は、原さんや塩澤さんといった先輩たちが作ってきたものを利用して、モノづくりをしてきました。まずはこちらをご覧ください。
コスプレです。
そこに、デジタルを組み合わせることで、日本の萌え文化をより近未来的に表現することができます。音の振動によって、光り出すスカート。スマホを使ってさまざまな文字を浮かび出すものです。
アイデアさえあれば、さまざまな日本発の新しいモノづくりが可能です。
次世代の教育のあり方とは何か?
「Next Working Style」のテーマとして、モデレータはエンジニア100人の育成を目指す「フロイデ」吉谷愛氏。登壇者は、琉球大学にてキャリアプランを教える遠藤聡志氏とオンライン上でプログラミング教育を学べる「Progate」代表の加藤將倫氏です。
インターネットを使えば、場所にとらわれずスキルアップできる昨今。高校や大学といった教育現場では、どのように人材を育てていくのか悩ましいところです。
吉谷氏:従来の商取引として、BtoB(Business-to-Business)やBtoC(Business-to-Consumer)が一般的でした。今後、リアルタイムで変化する個人一人一人にフォーカスしたBtoI(Business-to-Individual)やItoI(Individual-to-Individual)が盛んになる。エンジニアの役割がより重要になります。沖縄でも、エンジニア育成に力をいれていきたいところです。
加藤氏:東京大学在学中に、友人とProgateを立ち上げて、現在6万人以上が利用するプラットフォームになりました。私は、現在大学休学中ですが、学生として過ごす一年と起業家として過ごす一年を天秤にかけたとき、現在の経験が自分を作る上で欠かせないものになっています。
自分が自分であり続けるために、失敗を恐れずに挑戦していきたいです。
遠藤氏:大学教育も頑張っていますよ(笑)大学教育において、座学から育成にシフトしつつあり、生徒たちには学ぶためのプロセスとアウトプットを求めるようになりました。
例えば、グループワークのとき、自分が意見を伝えたとき、必ず他人の意見や考え方にぶつかりますよね。そのときに、自発的に行動できるのか? 社会に出たときに欠かせないスキルを大学でも教えています。
沖縄には、スタートアップ文化が広まるのか
最後に、「Startup In Okinawa」のテーマにふさわしい人物が登場しました。BASEの創業期を支え、2016年に「okinawa.io」として独立した金城辰一郎氏がモデレータになり、スタートアップと起業家をつなぐ「Slush Asia」ANTTI SONNINE氏とスタートアップカフェ福岡の立ち上げ人「特定非営利活動法人 AIP」村上純志氏が沖縄の未来について語りました。
ANTTI氏:5年前、東京でスタートアップを対象にした、しかも英語オンリーのイベントSlush Asiaを企画した時に、周りから『失敗するよ』と言われ続けてきました。実際はどうだ? 世界中からスタートアップや起業家、投資家が4000人集まるようなビックイベントに成長しました。これは、自分の信念があれば、どんな逆境でも関係ありません。
『自分から動くことによって、明日の物事を変えられる』
村上氏:スタートアップカフェ福岡の立ち上げの話を持ちかけられたとき、実は一度断ったんです。福岡には、支援する場所はたくさんありますからね。でも、私は、ただただ担当の人の熱い想いに動かされて、今ここに来ています。コザのスタートアップカフェも同じく、沖縄市行政のみなさんの熱い気持ちもあってこそ、実現するでしょう。起業において、いかに仲間に出会えるかが大切ですから。
金城氏:東京や沖縄だろうが、自分から動き出せば環境なんて関係ありません。『許可よりも謝罪せよ』 僕が大事にしている言葉です。
スタートアップでは、誰かの指示や意見を待つよりも、たとえ失敗してもいいから行動することによって道が開かれる、そういった意味です。2016年から沖縄にフィールドを移し、多くの起業家、企業と沖縄の地を盛り上げていきたいです。
沖縄市に誕生した「 Startup Cafe Koza(スタートアップカフェコザ)」はまだまだスタートしたばかり。これから、時間をかけて県を代表するスタートアップのコミュニティとしてクリエイターやエンジニア、その他、県内県外の様々な人が集まる場所として、とても楽しみです。
また、起業創業に特化するだけでなく、エンジニア・クリエイターの人材育成として「プログラミングスクール」なども早速9月からスタートするようです。
沖縄市から沢山のクリエイター・エンジニアが生まれそうですね!
今後とも、「おきなわマグネット」は「Startup Cafe Koza」の動きを読者の皆さんにお届けできたらと思います。
以上、現場の水澤からのレポートでした。