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沖縄移住応援WEBマガジン「おきなわマグネット」

沖縄仕事応援WEBマガジン

仕事と暮らしの裏側を完全公開。ゼロからはじめる多拠点居住のつくりかたを、沖縄でゆるゆるひも解いてみた

なかそねことみ

2019.02.26

「来週からタイに移住するんです。東京は寒くて!」爽やかな笑顔で、ちょっとこちらを困惑させる言葉を放つ女性。

女性こと古性のち@nocci_84)さんは、フリーランスの「フォトグラファー、ときめき収集家・編集者、物書き」。ちょっと聞かない肩書きだけど、もしかすると相当にやり手なお方…?

最近、「多拠点居住」というワードが盛り上がっています。いくつかの拠点をもち、旅するように暮らす様子はぱっと見華やかですが、外からでは分からない、大変な部分もきっとあるはず。仕事はどうしているんですか?行き先はどう決めるんですか?多拠点居住って、どうやってはじめたらいいですか?

多拠点居住には、フォロワー数とか天才的なスキルとか、特別なものは必要ありません

?!それって本当でしょうか。

 

おきなわダイアログで開催されたイベント、「多拠点のリアルな裏事情を語る 〜『多拠点』をゆるゆるひもトーク〜」にて、実際に多拠点居住をしているお二人に、多拠点のつくりかたを伺いました。

 

あいば

のちさんの働き方が面白いなと思ったのが、先日のおきなわマグネットでのちさんに書いてもらった波照間島の滞在記事です。SNSで10,000人以上のフォロワーがいるので、きっとVIP待遇で泊まってるんだろうなと思っていたんですが、実際はそうではなかったんですよね。

のち

はい、波照間島では、ヘルパーという形で宿にお世話になりました。宿代を1日300円にしてもらう代わりに、ベッドメイキングしたり、浴槽を掃除したり、9〜12時まで宿のお仕事を超がっつりして、それから遊んだり、ライティングなどのお仕事をしていました。

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日本の最果て沖縄・波照間島で3週間「旅と仕事」したリアルなノマドライフをお伝えします

 

のち

生まれて初めての一人旅が波照間島で、波照間島はすごく思い入れが深い場所なんです。

「多拠点」って巷ではよく聞きますが、拠点にしていく過程には絶対に種まきが必要で… 例えば、何度も足を運んで、現地のひとと仲良くなって、「あそこの物件は安いらしい」とか「こういう泊まり方ができるよ」という情報を得るのが、多拠点のはじまりだと思っています。

 

わたしが多拠点居住をはじめた理由〜のちさんの場合

あいば

次の目的地はタイのバンコク。東京からバンコクに行こうと思ったのはなぜですか?

のち

東京は好きなんですけど、寒いのが苦手なんですよ…。
冬場は起きる時間が遅くなってしまって生産性が下がったり、花粉症のせいで鼻水と頭痛のことしか考えられなくて、周りにも迷惑がかかるし、自分の精神状態も悪くなるしで、なら暖かいバンコク行こうかなって。

あいば

自分にあった国が、日本に限らずあるかもしれないということですね。

のち

世界一周をした理由でもあるんですけど、わたし、自分で選んで日本人に生まれたわけではないなと思っていて。もしかしたらインド人に生まれるはずだったのに、神様が箱を間違って、日本人の箱に入れてしまったから日本人になったんじゃないかなって。

そう考えたら、インドの方が、オーストラリアの方が、わたしの体に合っているんじゃないか…と。一度自分の目で世界を見てこようと思ったのが世界一周だったんです。

心地よい場所を探して、10日、14日という短いスパンで移動しながら、「ここは住めるかなあ」とか、「ここはご飯が合わないなあ」とか偵察をしていくと、好きな国ってだいたい固まってくるんですよね。

それで今回は、知り合いがいる安心感や、日本への帰りやすさも考えてバンコクに行くことにしました。

 

のちさんのバンコク情報は、「#バンコクのち暮らし」にてご覧になれます

 

のちさん、あいばさん、多拠点居住のメリットって何ですか?

のち

ひとつの拠点で、取り返しがつかないことをしてしまった(たとえば、酔って全裸になっちゃった)場合でも、他の拠点に移動すればいいという安心感があることだと思います。ここで生きていけなくても、ここで生きていける。その安心感があるからこそ、一か所で全力で走れる。

旅先だと、ご飯、宿、仕事場などの環境を整えるのに時間がかかるのですが、拠点ならそれがないのもメリットですね。

あいば

メリットは、人間関係です。毎日顔をあわせるわけではない、準レギュラーという形で、入り込みやすくよそよそしい感じがないので、主観的でもあり客観的に見れると言いますか…、一番いい距離感を保てるのかもしれないです。

 

会場)東京以外の拠点を持って、仕事の上でプラスになったことはなんですか?

あいば

東京から見ると、沖縄で手を挙げている人(沖縄で発信をしている人)はあまりいないから、目立つ!東京だと凄い人が星の数ほどいるので、東京の中では5/10レベルくらいだとしても、沖縄にくると7/10くらいにはなります。

他の地域の人とも、「地方の苦労あるある」とか、共通点が多いので、地域間の結束力が高まりますし、仕事にもつながります。「沖縄とどこどこで、コラボしましょう!」って声をかけてくれますね。

展開が早いなって思うのが、1日の飲み会でものごとが進むんですよね。それって、地方や海外だから起きる可能性があることですよね。

のち

私は他で拠点を持って、世界が広がりました。
ランチは1,000円とか、バスはドアを閉めて走るとか、自分が生きている世界で普通なことって、他の地域では普通じゃなくなります。対ひと、対ものごとで見るときに、自分の物差しで図らなくなるので、ストレスが少なくなる気がします。

東京にいないことでのマイナスは…飲み会に誘われなくなったとか…?

あいば

東京にいないことで、知らないうちに、失われている機会はあるんじゃないでしょうか。それが気にならないくらい、得るものは多いと思います。

 

多拠点居住をはじめる3つのステップ

のち

多拠点居住をはじめるには、3つのステップがあると思います。

多拠点居住をはじめる3つのステップ
1 なんで多拠点をやりたいかを具体的にする
2 どこでやりたいのかを具体的にする
3 実際に、そこに行く

 

のち

多拠点って「しなくてもいいこと」なので、移動費、時間もお金もすごくかかるのに、そこを拠点にする理由、3ヶ月しかいない家に、あえて一年分の家賃をかけて滞在する理由を明確にしておいたほうがいいと思います。

かっこいい理由はいらないんですけど、理由を明確にしておくと、挫折しそうなときに立ちもどる場所ができるので、強いですね。

最初って、その土地の知りあいが誰もいないじゃないですか。
なので、積極的にひとと話す、地元のお店に行く。カフェとかごはん屋さんとか、新規開拓をするんですけど、行った場所にもういちど行くと、店員さんが覚えててくれたりして、どんどん仲良くなっていく。

そういうひとたちって、行くといつでも「おかえり」って言ってくれるんですよね。「また来るとき、ここによってね」というつながりを生みだすために、投資として訪れています。

「東京だから」を変えたくて。どこででも暮らしていける仕事のつくり方

あいば

現地での仕事はどうしているんですか?日本の仕事をするのか、それとも…

のち

2年前くらいまでは、100%東京の会社からお仕事をいただいていました。
でも、フリーランス3年目になって仕事に慣れてくると「今やりとりしている会社は、実はこんなことがしたいらしいよ」とか、「実は翻訳機を売りたいと思っているらしい」という情報が入ってくるようになって、自分から提案ができるようになるんですよね。

「翻訳機を売りたいんだったら、わたしバンコクで使ってきます!」みたいな。
先日は、台湾でRentioさんというカメラをレンタルする会社と一緒にお仕事をさせていただきました。

https://note.mu/nontsu/n/ncdbe36c84e38?magazine_key=m7601af322796

企画書をつくるのは苦手なんですけど、頑張って書いて、送っています。
バンコクでも、あの会社とあの会社とはこれを一緒にできそうだなあというのはなんとなくあります。

 

あいば

仕事で各地に行くスタイルから、暮らしというベースの中で、「タイに行くからこの仕事を作れるな」という風に変わってきているんですね。

のち

そうですね。
実はきっかけがあって、鹿児島でライティングの勉強会をしたとき、参加者に「のちさんの働き方は、仕事の単価が高い東京だからできること」って言われたのがめっちゃ悔しくて。

そこで、100%受け身じゃなくて、自分から提案していく働き方に変えようと思いました。

自分から提案するようになってから気づいたのが、「会社ってお金を出したくないわけじゃなくて、そこまで企画する余裕がないのでは」ということです。なので、会社に対してこちらから具体的に提案すると、会社も「ありがとう」って言ってくれる。

あいば

わかります。涙が出る。おきなわマグネットでも、「この人にこの記事を書いて欲しいけど、日々の業務に追われて細かく考える余裕がない」みたいなことがあって…

のち

そんな時に、「宮古島に行きたいんですけど、『若者におすすめしたいカフェ10選』みたいな記事を書きたくて、候補のお店はここで、これって10代にすごく響くと思っていて」って提案してくれると…

あいば

そんなライターさんのお言葉に甘えて「じゃあよろしく」ってなります!

(会場笑)

あいば

「離島に行くなら、ついでに記事を書いてきたら」みたいなところから話ができると、メディア側も助かるといいますか、現地にいるから書いてもらおうという依頼も増えてくるんじゃないかなと思います。

のち

リモートで仕事をすると、どうしても単価の高い東京のひとが有利になっちゃうんですけど…例えば、岡山に住みたいとしたら、「岡山県で何ができるか」という方に考えを振るといいのかなって思います。

 

フォロワーが少なくてもいい。好きな場所とつながるための情報発信

のち

よく「SNSのフォロワーが100人しかいないんですけど、発信しても意味なくないですか?」って言われます。でも、冷静に考えると、100人って3クラス分あるんです。1組から3組までの人が自分の話を聞いてくれると思うと、すごくないですか?

話を聞いてくださっているひとがいるって、価値があることなので、発信は無意味ではないです。

わたしは、「note」っていうブログみたいなwebサービスに記事を投稿しているんですが、noteは時間の投資だと思っています。読んでくれたらラッキーですけど、誰が読まなくてもいいんです。

岡山では、「私が岡山を好きな理由100」みたいな記事を作成して…書くことにお金は発生しないんですけど、岡山の人はすごく喜んでくれます。

https://note.mu/nontsu/n/nec41de176155

 

のち

「『私が岡山を好きな理由100』?100もある?」みたいな。そこからつながりが生まれるんですよね。

ほかにも、わたしはFUJIFILMが大好きなんですけど…FUJIFILM好きで集まるイベントを企画したら、その日がたまたまFUJIFILMの生誕80周年の日だったので、生誕際を勝手に祝ったんです。

 

 

のち

そうしたら、全国のFUJIFILM好きな方々がハッシュタグを拾ってくださって、全国から集まった投稿がFUJIFILMの担当の方の目にとまったり。

好きなものにとことん投資するのは、ものすごく大事だと思います。発信は、見返りを求めないと絶対に返ってくるから。

 

拠点を探すあなたを支える、滞在サービスのご紹介

 

会場)滞在する場所はどうやって探していますか?

のち

波照間島の場合は、ヘルパーという仕事がゲストハウスにあるということを知っていたので、「ヘルパー 波照間島」で検索して見つけました。

そのほかにも、「workaway」という、宿泊費とスキルと交換できるサービスもありますね。

(画像:https://www.workaway.info/より)

 

のち

それから、いま気になっているのが「ADDress」というサービスです。月額制で世界中に拠点を持てるサービスで、2019年4月にプレオープンの予定とのことです。

(画像:http://address.love/より)

 

のち

ゲストハウス「Little Japanが運営している「HOSTEL LIFE」もあります。月1.5万円〜の手頃な値段で、登録している全国のホステルに泊まり放題になるサービスです。

(画像:https://hostellife.jp/

 

のち

最近は、仕事と暮らし、どちらも色んなサービスが増えて、チャレンジしやすい世界になってきていると思います。

 

のちさんが言うとおり、サービスの存在や、リモートの働き方、そして、お二人がこつこつ種をまいた結果、今の暮らしが実現していることが分かりました。

わたしでもできますか?の答えは、「わたしにもできそう!」。

まずは、働いている相手の「してほしいこと」を探して提案してみたり、訪れた先でだれかに話しかけたり、素敵な場所をSNSで紹介してみたり…未来の拠点を見つけるために、小さく一歩、踏み出してみたいと思います。