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沖縄都市モノレール「旭橋駅」周辺にそびえ立つ「カフーナ旭橋」A街区の地上11階建てビル。その1階部分に新しい「那覇バスターミナル」が完成しました。旧・那覇バスターミナルと場所自体は変わりなく、しかし、建物全体から漂う雰囲気が以前のそれとは明らかに違います。
そもそも「カフーナ旭橋って何?」
調べてみると、「旭橋駅」付近に完成した”新しい都市環境のカタチ”を表現する街として再開発された複合施設。この周辺一帯がA街区からE街区で区切られ、那覇バスターミナルはカフーナ旭橋A街区に位置します。
2018年10月1日から運用を開始した那覇バスターミナルが進化し、利用客目線での使い勝手も進化したのかを確認してきました。
まずは、軽く「那覇バスターミナルの歴史」について触れてみる
那覇市歴史博物館ホームページより( http://www.rekishi-archive.city.naha.okinawa.jp/)
もともとこの周辺は埋立地だったらしく、現在の那覇バスターミナルがある場所に、戦前までは沖縄県営の軽便鉄道「那覇駅」が存在しました。しかし、戦時中、この一体は焼け野原となり、沖縄の鉄道は復旧されることなく、そのまま消滅したのです。
※現在、沖縄で唯一の百貨店「デパートリウボウ」が入る複合施設「パレットくもじ」6階の那覇市歴史博物館に訪れると、当時の様子を伝える「那覇駅跡」の写真が飾られています。(常設展示の場合)
時を経て1959年、この地に那覇バスターミナルが完成。沖縄県内で運行されていた複数のバス会社の停留所を集約し、路線バスの起点として運行を開始したのです。
アメリカ統治時代から右側通行だった自動車の交通ルールを、1978年7月30日(正確には前日の夜から)、県内全域で左側通行へと変更し、それに伴ってバスの乗車口を車体の右側から左側に変える必要性なども発生して那覇バスターミナルが全面的にリニューアルされました。その後も運用を続け、2015年5月、都市開発のため一時的に那覇バスターミナルは閉鎖されました。
そして、2018年10月1日。新しい那覇バスターミナルが完成して運行開始しました。沖縄県民の足となる公共交通機関のハブとして沖縄のバスターミナルが再び新たな姿で蘇ったのです。
新・那覇バスターミナルがオープン!使い勝手を検証してきた
二拠点生活フリーライターみやねえ(@miya_nee3)です。いつの間にか運用開始していた那覇バスターミナルが気になっていた矢先、次は10月13日、カフーナ旭橋A街区の建物2〜3階に「那覇OPA(オーパ)」がオープンしました。
「我が青春、那覇OPA…」
と国際通りの旧・那覇OPA(現在、ドン・キホーテとなった場所)を懐かしむ20代の若者もいて、新しい那覇OPAは今後も「我が青春」になれるのか、沖縄県民の間で賛否両論を呼びそうです。
今回は、都会的な雰囲気が漂うカフーナ旭橋A街区の1階に完成した那覇バスターミナルを少しずつ紐解いていきます。
沖縄都市モノレール「旭橋駅」から徒歩2分!那覇バスターミナルの停留所へ
まず、皆さんはどうやって那覇バスターミナルまで行きますか。そんな疑問がよぎり、バスターミナルと連絡している沖縄都市モノレール「旭橋駅」からの行き方を最初に紹介します。
モノレールの「那覇空港駅」から乗車時間11分。「旭橋駅」で下車後、改札口を出て左側の連絡橋に進みます。
ここがすでに2階。この連絡橋を渡り切ると、デデーン!とそびえ立つカフーナ旭橋A街区のビルが目の前に現れます。
正面には那覇OPAの2階入口を確認できますが、残念ながら那覇OPAには入らずに通過。右側の通路へ進みます。
すぐに下りエスカレーターを発見。1階まで降りると、那覇バスターミナルのバスのりばです。旭橋駅から徒歩2分。
バスの停留所は11カ所、しかしこれが曲者なんです
ファミリーマートの周囲をぐるりと取り囲むように、1番から11番までの全11カ所の停留所が並び、こんな場所にコンビニがあるとつい乗車前にドリンクを買ってしまうじゃないか、とそんな深層心理をついてくる距離感です。
各バス停の看板には、「日本語、英語、中国語、韓国語」と多言語表示の電子時刻表。
日本語
英語
中国語
韓国語
「なぜか日本語が読めない?」と看板を直視したら、いつの間にか韓国語表記に変わっていただけ。
バスの停留所はすぐに発見できます。しかし、何番のりばから乗車するのか、そもそも何番のバスに乗車すればいいのかがわかりません。停留所の上に行き先が記載されてますが、その行き先自体がどこなのかが不明。地元民ですら迷うだけに、直感で「このバスじゃない?」と乗車するのは危険です。
なぜなら先日、沖縄に訪れた東京の知人が南部に行こうとバスに乗車し、気づいたときには中部の宜野湾市にいたというから驚きです(実話です)。
「北と南の方向間違えたんだね?」と普通に返しましたが、今思えば、この会話自体がそもそもおかしく、方向を間違えたというよりは、乗るバス自体を間違えてた感が否めません。
現在、90ほどのルートがある沖縄の路線バス。行き先が「屋慶名バスターミナル」「馬天営業所」「親慶原出張所」などと書いてあったら、「このバス、どこ行くの?」と地元民でも迷うところです。しかも「親慶原」という漢字すら読めない。南城市にあるそうですが、県外の皆さんは南城市の位置わかります?
沖縄の路線バスって乗り慣れてないと、ムズイんです…。
乗り場がわからなくても安心!案内所で聞いてみよう!以前はなかった屋内の広い待合所
ファミリーマートの隣に広い待合所がありました。夏場なら涼しいクーラー付き、冬場なら吹きすさぶ冷たい風がしのげる広くて素敵な待合所。
以前の那覇バスターミナルは、バスの待合所がなく、停留所近くにポツンと設置された長椅子だけ。屋根はあったけれど、屋外なので夏は暑くて冬は寒く、例え10分でも待ち時間が発生すると過酷な環境でした。そのためか、新しい待合所を見たとき、「沖縄、最高!」と叫びたくなった私はゆるい社会で生きてるのでしょうか。
大きな画面に動画を映してここでも行き先とバスの番号を案内し、お昼の時間だったからか、この日は案内所には誰もおらず。すぐ近くにあったタッチパネルでチェックしてみると、ほぉー、面白い。
観光地の名前や地名で検索でき、バスのルートや下車する停留所を確認できるのです。しかし、路線によってはバスの番号が表示されてません。
「こ、これは。使いこなせない…」
少し離れたバス降り場の近くに空港リムジンバスの案内所「空港リムジンセンター」を発見しました。
スタッフさんがいるからか、次から次へと外国人観光客がこの窓口に訪れている様子。
私も中に入ってみると、スタッフが丁寧に「停留所の番号、バスの番号、出発時間」などを教えてくれたんです。やはり沖縄の人って優しいな。対面で会話するとなぜかホッとする昭和生まれのフリーライターです。
観光客が北部まで足を伸ばすならレンタカーを借りると思います。でも稀に、路線バスで本部町の「美ら海水族館」まで行く人もいるようで、「高速バス111番と117番」に乗車すると行けるんですね。時刻表によると、何事もなく順調に走行すれば、約2時間で到着。自動車でも高速道路を利用してここから1時間30分強で到着しますから、さほど変わらない移動時間に驚きを隠せません。
「美ら海水族館ってそんなに遠いの?」
と思った人はGoogleマップで沖縄本島の大きさからチェックすることをオススメします。
中北部のリゾートホテルを周遊する空港リムジンは、美ら海水族館まで2時間45分前後かかり、だいぶ時間をロスするのでご注意ください。
特に気をつけたいのが、国際通りに行くとき。行き先は同じなのに、バスのフロントガラスに「牧志」や「久茂地」の看板を掲げたバスがあります。「牧志」は国際通りを通行し、「久茂地」は国際通りを通りません。同じ行き先なのにです。不思議ですね?
那覇バスと琉球バス交通の「バスロケーションシステム」でも路線バスや時刻表を検索できるので活用してください。
案内所や窓口、タッチパネルでバスの番号・バスのりば・出発時刻を把握したら、遅くとも5分前には停留所前で待機しましょう。それでもやや不安が募る人には奥の手があります。
バスの運転手さんに「このバスは●●に行きますか?」と確認すること。沖縄のバスの運転手さんって優しいんですよね。このバスで合っているのか、降りる停留所なども教えてくれたりします。
沖縄の交通系ICカードといえば、なるほど「OKICA」ですか?
OKICA(http://info.okica.jp/)
路線バスに乗車したとき「ICカードで支払えますか?」と質問しては、「OKICAだけね…」と言われて、持ってない自分はICカードでの支払いを断念し続けました。沖縄県民しか知らない沖縄の交通系ICカード『OKICA』です。
空港リムジンバスセンターのスタッフからOKICAの話を聞いて、頻繁にバスを利用するなら意外と便利なのだと悟りました。そもそもOKICAってどこで購入できるのか。スタッフに質問すると、沖縄都市モノレール各駅の発券機や窓口、那覇バスターミナルなどバスの営業所窓口でも購入できるそうです。
次に思い浮かんだ疑問は、どこでチャージできるのか。モノレールの各駅の発券機やバスの営業所窓口、なんとバスの車内でもチャージできるらしく、便利だけれど5,000円札や10,000札だとチャージ無理なんでしょ?と思っていたら「ICカードのチャージなら5,000円札や10,000札も利用できるんですよ。笑」とスタッフさん。
通常の乗車料金は、5,000円札や10,000札で支払いできず、小銭や1,000円札を持ち合わせてないときはヒヤヒヤします。ICカードのチャージならできる、んですね。
あと2,000円札も大丈夫だと。沖縄では未だに懐かしの2,000円札が出回っていて、沖縄の銀行でATMからお金を引き出すとき、操作中に「2,000円札不要」ボタンがわざわざ表示されるのは未だに謎です。そして、うっかりボタンを押し忘れると大量の2,000円札がATMから放出されます(銀行にもよります)。
ひとつだけ教えてもらったOKICAの便利な特典が、ポイントを貯められること。そのポイントは再び乗車料金の支払いに還元でき、通勤や通学で毎日バスを利用するなら「OKICA」は持つべきなのでしょう、支払いが楽だし。
OKICAについて全く語り切れてないので詳細は「OKICA」のサイトを確認してください。
バスの降り場は奥のほう。便利な設備もあった
那覇バスターミナルは、バスのりばと下車場所が異なり、奥の下車場所近くに各バス会社の窓口と空港リムジンバスセンターがあります。
停留所から奥を覗くとバスが整列して待機中。地下1階の駐車場もバスの待機場所らしく、出発時刻が近づくと地上まで移動してくるそうです。
11番のりばの近くに荷物預けのコインロッカーを発見。この狭いスペースに大型コインロッカーが8個もあるのは、外国人の観光客を想定しての対応でしょうか。
自転車置場まで完備され、前輪の部分にガシャン!と鍵をハメて、受け取りはコインパーキングのように入口の機械で番号を押して支払いを済ませると、鍵が解除される仕組みです。
あちこちと考えられた造りになっていますね。
バスの待ち時間が発生したら、ファミリーマートのイートインコーナーや屋内待合所で待機するのもいいでしょう。しかし、この建物の上には那覇OPAがあります。沖縄初出店のスイーツやカフェを味わうタイミングが、まさに今、バスの待ち時間でしょう。
しかも、渋滞する時間帯にバスに乗車するくらいなら、ひと休憩してから道路が空いた時間にサクッと帰宅するのも可能なわけです。
待ち時間ができたら、那覇OPAで休憩していかない?
2018年10月13日、カフーナ旭橋A街区の2階、3階に「那覇OPA」がオープンしました。沖縄初出店のカフェやスイーツのテナントも入り、ここまで来て食べずに帰るなんて半端なことができない性分の私は、張り切って食べてきました。
とその前に、2階には観光案内所もあります。
建物を取り囲む、屋外の2階通路に面した入口から入ると、休憩所も店内もきれい。
そして、3階には沖縄県内で2番目に大きな百円均一ストア「DAISO」も入り、「観光やグルメ」だけでなく、暮らしにも密着しそうなテナントがちらほらとありますね。
私が注目した沖縄初出店スイーツは、台湾発の新食感かき氷店「ICE MONSTER(アイスモンスター)」と東京の原宿・表参道に本店を置く「ROLL ICE CREAM FACTORY(ロールアイスファクトリー)」です。
まずは、2階の「ROLL ICE CREAM FACTORY(ロールアイスファクトリー)」を覗くと、可愛らしいトッピングが並び、思わずキュンキュンと胸がときめく女子が増加しそうです。
その横でスタッフがロールアイスを作り、この工程が面白すぎて、ガラス越しにスタッフを凝視。冷却した鉄板の上にアイスの原液を流し込み、イチからアイスを固めてロールアイスを作るんです。だから完成までに数分ほど、時間がかかるようですね。
完成したストロベリーのロールケーキ。食べるのも楽しい「ROLL ICE CREAM FACTORY(ロールアイスファクトリー)」でした。
もうひとつは、台湾発の新食感かき氷「ICE MONSTER(アイスモンスター)」です。2018年8月から2ヶ月間、期間限定で那覇の国際通りにオープンしていたのでご存知の人もいるかと思います。
注目していたマンゴーかき氷とタピオカミルクティーかき氷を食べてみる。
1番人気だというマンゴーかき氷。マンゴーとマンゴーシャーベット、杏仁豆腐をのせたビッグなかき氷で、かなり食べ応えがあります。
特に気に入ったのが、タピオカミルクティーかき氷。ミルクティーのアイスブロックを削り、タピオカをのせてキャラメルソースをかける。ありきたりのフレーバーではないところもポイント高し。
那覇OPAの2階「ICE MONSTER(アイスモンスター) 」のビッグなかき氷は、かなりいいお値段です。しかし、昔ながらのかき氷のようにスタッフが両手で器を持ちながら、ふんわりしたかき氷をカタチ良く丁寧に盛っていくので、体力勝負のような作り方。かき氷を目の前にしたらちょっとした感動を味わえます。
食事をするなら、沖縄初出店の「星乃珈琲店」でしょう。埼玉県の蕨市に本店を置き、フランチャイズで全国に展開中。東京で見かけたことがあり、沖縄で初訪問です。
名前も見た目も気になって注目したメニューが「ふわふわスフレドリア」。モッツァレラチーズも入っているとか、説明を読んだだけでも美味しそうすぎる。
「うわあ。本当にふわふわ…」
そして、ほんのりとチーズの香りが…。トマト系で味付けされたドリアといい、具もしっかり入って見てるだけでも心がほっこりする。女性なら1食分に相当するほどよい量でした。
食事をするなら、ビーフシチューオムライスドリアも捨てがたい。
沖縄に初出店した「星乃珈琲店」の落ち着いた店内で休憩がてらコーヒータイムするのも良さそうですね。
2018年12月15日、「沖縄県立図書館」もこの建物内にリニューアルオープン。3〜5階部分が書庫となる広い図書館となり、ビジネスに特化した書籍や雑誌が並ぶ予定のビジネスコーナーもあるようで、今からオープンが待ち遠しい限り。読書好きなら足繁く通ってしまう予感がします。
沖縄県民の足であり、沖縄の公共交通機関のバスを便利に活用して、たまに休憩がてらゆったりした気分で那覇OPAでスイーツを食べる。沖縄の路線バスの起点となる「那覇バスターミナル」の周辺は、暮らしのテーマも入り混じった楽しいスポットになりそうですね。
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最後にひとつ、重要なことを伝え忘れていました。
バスを下車する際は、下車を合図するボタンを押し忘れないように。せっかく目的地を目指すバスに乗車できても、下車するバス停を通過されたら本末転倒です。