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沖縄の夏は那覇市の牧志商店街で恐怖体験!?築55年の水上店舗で蘇る、噂のお化け屋敷「のっぺらぼう」に潜入

水澤 陽介

2018.08.15

 

 

……ぴたっ……ぴたっ……ぴたっ……ぴたっ……ぴたっ……ぴたっ……

 

 

 

 

 

 

スマホばっかり見ていないで、こっちを向いてよ・・・・・・

 

 

 

 

……ぴたっ……ぴたっ……ぴたっ……ぴたっ……ぴたっ……ぴたっ……

 

 

 

 

そんなにさ。ソーシャルで生きたいなら顔はいらないよね。

 

 

 

 

ドッ

ドッドッ

ドッドッドッ

ドッドッドッドッ

 

 

 

 

 

おまえの顔を……、よこせーー!!!!

 

 

 

 

 

夏の風物詩といえば、身の毛もよだつ怪談やホラー。わたし、ライターの水澤は中学生のときにホラー映画「リング」を見た夜、眠れなくなりました。

以来、大のホラー嫌いで約10年間過ごしてきた私水澤ですが、今回は怪談・妖怪好きのおきなわマグネット編集部の願いを叶えるべく、こちら沖縄県那覇市にある「牧志商店街」に来ています。

 

まずは、こちらをどうぞ。

 

 

 

お化け屋敷「のっぺらぼう」、もう怖い。

 

7月14日から9月30日までの期間限定でオープン。
那覇市牧志商店街のエンターテイメントとして生み出された新名所、お化け屋敷「のっぺらぼう」。

 

 

牧志商店街に入って、市場中央通りを進み、人気が少なってきたところ。もともとは、那覇高等美容学校があった築55年の水上店舗の2階に「のっぺらぼう」はあります。

 

 

お化け屋敷「のっぺらぼう」のいち場面。

のっぺらぼうでは、“生”の怖さを追求するため、VRなどの最新技術を魅せるのではなく、あえてアナログをとことん追求し、どこか懐かしい沖縄の昭和感が漂います。

 

 

こちらのお化け屋敷「のっぺらぼう」を監修するのは、映画「シンゴジラ」の造形や世界70カ国で読まれる「Make-up Artist Magazine」で「世界で注目アーティスト10人」に選出された、「有限会社自由廊」代表のAmazing JIROさんが携わっています。

 

Amazing JIROさん率いる運営チームのメンバーは、沖縄で「のっぺらぼう」を通して何を伝えていきたいのか。
水澤の恐怖体験の前に、その想いをお伝えします。

 

Amazing JIRO
Face & body paint artist | SFX makeup artist / 有限会社自由廊代表

東京芸術大学卒業後、特殊メイクの道に入り、「有限会社自由廊」を設立。現在では特殊メイク・造形製作にとどまらず、クリエイティブディレクターとして、映画、ドラマ、CM等、映像の業界にとどまらず多方面で活躍中。

 

最新の特殊メイク技術で、昔ながらのお化けたちを復興

 

水澤

素直に聞きますが、なぜ「のっぺらぼう」を題材に選んだんですか?

JIROさん

もともと、常識的なところにいきたくなくて。これまでに、特殊メイクでひとの顔をいじってきました。いくらでも加工できる僕が、あえて目や鼻、口がないのっぺらぼうを選び、怖いものができたら、この先勝ちかな、と思ったんです。

 

Amazing JIROさん(@amazing_jiro)がシェアした投稿

 

水澤

とことんシンプルに。次のステップを見据えて、のっぺらぼうにしたのですね。

JIROさん

あと、今はお化け屋敷はデジタル化が進んできて。例えば、VRやAR、モーションキャプチャーを使って、来てくださったひとたちに恐怖体験をしてもらう。だから、ある意味「ろくろ首」とか出てこなくなったと聞きます。
でも、僕たちは昔ながらの妖怪「のっぺらぼう」、そしてここ水上店舗を選んだのは、いまも漂うこの昭和感を活かすため。雰囲気をそのままに、アナログを活かしたほうがいいんじゃないか、だから最新の特殊メイク技術で「お化けたちの復興」を定義しているんです。

水澤

昔のお化けたちって、丑三つ時にふと後ろを振りかえったら居そうな怖さがありますよね。

JIROさん

近くにある牧志公設市場ならなお一層にね(笑) だって、今ものっぺらぼうが隠れて住んでいそうな雰囲気がありますし。アナログにこだわったのは、違和感がない、リアリティのある世界観を作りたかった。

 

本当の顔を失いつつある「現代人への怒り」

 

水澤

これから約10年ぶりにお化け屋敷に入るのですが、無事に家に帰れますかね……

JIROさん

うーん、今まで体験してくださったひとによっては、途中で走ったり、腰を抜かしてしまうことも。

お化け屋敷内は、写真撮影や走ったりしないように。

 

JIROさん

なぜ、そんなに怖いかというと、のっぺらぼうへのストーリー付けをこだわって、時間をかけたからです。
のっぺらぼうは、自身の顔にコンプレックスを抱えている。でも僕たち、現代のひとたちはSNSでやりとりすることが増えて、お互いに顔を見ずにコミュニケーションをとっているじゃないですか。しかも、自分の顔を加工してインスタに載せたり、本当の顔がわからなくなっていますよね。

水澤

自分の顔を鏡で見る機会もグッと減っています。

JIROさん

SNSの普及は、僕らにとって役立っていますが、のっぺらぼうにとっては顔を大事にしていないように見えるし、こうした現代人に対して怒りがあって。のっぺらぼうを演じるアクターはもちろん、お化け屋敷の細部までストーリー性をこだわって作り込んでいます。

 

水澤

日本に限らず、英語圏でも歩きスマホをしている姿を「Smartphone Zombies」(スマホゾンビ)と呼んだりしますもんね。

JIROさん

たとえ明るいところにいても、スマホに夢中になっていたら、隣がのっぺらぼうでもおかしくない。そんな現代の怖さを伝えたい。

 

沖縄が大きな転機となる 「攻め」に転じた、JIROの挑戦

 

水澤

お化け屋敷「のっぺらぼう」は、観光名所である国際通りの近くではなく、牧志商店街から奥に進んだ人通りが少ないところなので、リアリティさが増します。

 

 

JIROさん

物件を探しに沖縄に来たのは去年(2018年現在)の11月頃。国際通りなら多くのひとが足を運んでくれることは分かっていましたが、あえてひとの匂いを追い求めてここを選びました。

水澤

ひとの匂いとは?

JIROさん

水上店舗は築55年という、長い年月の中で培われてきた歴史というか……存在感というか……。古い団地のアパートの一室で身を寄せ合いながら静かに暮らしていた、のっぺらぼうにはそんな言い伝えがあります。だから、水上店舗の外観からわからない、でも確かにひとたちはいた痕跡がある。そんな存在感をのっぺらぼうに与えたかったんです。

水澤

造形に命を吹き込む、そんなお仕事をJIROさんはどうして目指されたのですか。

JIROさん

ホラー映画「らせん」を見たことがきっかけです。映画の一場面で、真田広之さんが内臓を抜かれているのに、むくむくと起き上がるシーンがあって。実は、造形とCGによって合成されていましたが、あまりにも人体がリアルだったもので、素材はなんだろう、とね。そこで、特殊メイクに出会ったんです。

水澤

「らせん」は「リング」の続編ですね。ジャパニーズホラーの先駆けがJIROさんを特殊メイクへ導いたんですね。

JIROさん

特殊メイクの学校を卒業後、そのまま起業したから4年ぐらいは苦労していました。当時、事務所兼自宅だったので、お風呂もないし、食べるものもたまにありつける「ペヤングソース焼きそば」にゆで卵を加えるのが贅沢みたいな(笑)

でも、ものづくりは続けていたんです。一個作ったら自分の武器になる、毎日毎日ものづくりを辞めなかった。今思えば、未来に種を蒔いているような楽しさがありました。

気づいたら、テレビCMに参加させてもらったり、大作と呼ばれる映画に関わるようになりました。

 

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JIROさん

でも、これまでの人生で大きな転機は、沖縄で「のっぺらぼう」をオープンさせたことです。

水澤

沖縄が転機ですか。

 

 

JIROさん

今まで小さな攻めは行なってきましたが、お仕事を受注するかたちは変わらない。でも、今回は自社で出資して、アイデアを0から決めていき、プロモーション用のCM動画も自分たちで作りました。全てが手作り。

これまで、例えば受注した仕事は経験があるから仕上がりの予測がつきますよね。「のっぺらぼう」では、本社がある東京ではなく沖縄で挑戦する、未知数なところで仕掛けているので、次につながると信じています。もう成功といえますね。

水澤

まさに、「常識的なところにいきたくないこと」につながりますね。

 

沖縄に住むひとたちの感性に届くように。視覚や嗅覚にこだわったエンターテイメント

水澤

牧志商店街内でしたら、海外から来る観光客にもエンターテイメントを楽しんでもらえそう。

JIROさん

そうそう、日本の技術をどんどん知ってもらえるようにね。「沖縄に行ったら、お化け屋敷で怖いをしたんだ」と体験から価値を認めてもらえるんじゃないかと思います。

例えば、僕のインスタではフォロワー約12万人のうち約10万人は海外のひと。とくに、凝った特殊メイクより素材を生かした造形技術にいいねとコメントをもらっています。

だから、のっぺらぼうというシンプルな造形と、かつ血がついた壁やカビの生え具合、香水といった匂いにまでこだわった日本型エンターテイメントを伝えられる。沖縄から世界へとアプローチすることにつながっていくと思います。

世界で「のっぺらぼう」が評判になって、逆輸入として日本に住む人たちに日本の技術はすごい、と自信を持つきっかけになればうれしいですね。

 

水澤

沖縄ならではの素材がここで生きていくのですね。

JIROさん

はい。あと、沖縄に住んでいるひとにも楽しんで欲しいですね。個人的に、観光で沖縄を訪れているひとたちよりも、素直に新しいエンターテイメントに反応してくれますし、職業やジャンルによって線引きしない、自分自身で判断する価値観を持っているように感じます。

だから、僕たちの「のっぺらぼう」に、何度も来てくださったなら、僕たちも手応えを得て、自信につながると思います。

 

お化け嫌いな水澤たちがのっぺらぼうに潜入!!

今回は、JIROさんから特別に許可をもらい、お化け屋敷の様子を音声をテロップ付きでお届けします。

取材に同行したカメラマンの山口も、お化けが苦手というなか、どのくらい怖いのか、二人の声から楽しんでもらえればと思います。

 

再生をする際は音声にお気をつけください・・・・・・。

 

 

 

どれだけ怖かったか伝わりましたでしょうか・・・・・・。

この恐怖をぜひ読者のみなさまも実際に味わってみてください・・・・・。

 

 

 

●のっぺらぼう

住所:〒900-0013 沖縄県那覇市牧志 3-3-1-2F
営業時間:【平日】13:00~23:00 【土日祝および2018/8/13~16】12:00~23:00
料金:一般 1000円 子供 500円(※ 小学生:保護者同伴 ※ 未就学児:入場不可)
ホームページ:https://noppe.jp/