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こんにちは。ライターのナガハマです。みなさん知ってましたか?沖縄って闘牛が盛んに行われているんです。
ただ”闘牛”と言っても、スペインで行われる闘牛士が登場して赤いマントでヒラリというものではなく、牛と牛が角を突き合わせて闘うもので、沖縄の方言では「ウシオーラセー」と呼ばれます。
特にうるま市石川(旧石川市)や今帰仁村は地域をあげての盛り上がりを見せ、数多くの大会も開催されています。
そこで今回は、「闘牛女子」という写真集まで発行している筋金入りの闘牛ファン、久高幸枝さんに、知られざる闘牛の世界や取組の楽しみ方を教えてもらいました!
写真集「闘牛女子」読ませてもらいました。ライフワークで撮りためていたものと聞きましたが。
小さい頃から、父が持ってたフィルムの一眼レフカメラの影響もあり、写真が好きで撮り溜めてたものがあったんです。
自分では写真を撮ることが好きだと思っていたんですけど、ある日仕事で闘牛の大会に行けなかったことがあり、気が付いたら無意識のうちに頬を涙が伝っていたんです(笑)正確に言えば、人から教えてもらったので、”伝っていたらしい”です。「久高さんが…泣いてる!」って。
それから闘牛の試合ばかりを撮るようになりましたね。形に残しておけば、必要な時に牛主に配ることができる。この写真集は私の生きている証みたいなものです。
闘牛が好きになったきっかけは何だったのでしょう。
私、闘牛サラブレッドで、両親ともに旧石川市出身で牛飼いだったんです。
母の家で飼っていた牛(石川サイヨー)に青年の頃の父が惚れ込み、取組に行くと父はその牛の勢子(せこ=牛の横に付いて掛け声で士気を高める人)をしていたみたいで。
その流れで母と付き合い始めた、という馴れ初めなので、牛の縁がつないで生まれたのが私です。
そんな環境で育ったもので、物心付いたから、学校から帰って来るとまずは掃除や草刈りなどの牛の世話。
兄弟全員、小さい頃に自分が担当する子牛を選ばされて、切磋琢磨するんですよね。牛飼いとしてのマインドコントロールです(笑)未だに解けていないんですけど。
強い牛はどうやって作り上げるんですか。仔牛の時点で特徴があるのでしょうか。
一応、血統もあるんですけど、何より一番大事なのは環境ですね。
あとは、ツメのコンディションも重要です。踏ん張る部分でもありますからね。乳牛だと乳量、和牛だと肉付きも変わるくらいなので牛にとってツメのメンテナンスは重要なんですよ。
稽古は牛飼いによって方法は様々なのですが、砂浜を歩かせたり、タイヤを角で突いたりするトレーニングを行っています。
トレーニングの際は引き分けというか、勝敗はつけません。あくまでもお稽古なので、どちらも心が折れてしまわないように。牛くんって意外にデリケートなんです
闘牛場での見どころはここだ!
闘牛を100倍楽しく見るにはどうすれば良いですか?
取組表で、面白い名前の牛を応援するのも良いんじゃないですかね。「○○パンダ」って名前の牛は、血統にホルスタインが入っていて白黒なのでパンダって付くんですよ。会社名を牛の名前に付けることもありますね。有名どころで言うと「古堅モータース」とか。
あとは体重をチェックしておいて、体格差を知った上で取組を見ると、小さい牛が勝った時に興奮しますよ。
取組中の牛の技や、角の形による相性なんかは、実況アナウンサーが解説してくれるので、それを聞きながら見入ると良いかもしれませんね。
牛のそばで気合を付ける勢子は、お互いの角と角が合うようにロープを引っ張ります。
勢子の掛け声を「ヤグイ」と言います。それぞれスタイルがあるんですけど、オーソドックスなものは「ヒーヤイ!」ですね。みんな取組後は声枯れていますよ。
ここで、実際に収録させてもらった「ヤグイボイス」を聴いて頂きたいと思います!闘牛実況アナウンサーの伊波大志さんが「自分の中でナンバーワンのヤグイを出す闘牛士」ということで、ご紹介頂きました、与勝の世嘉良正樹さんの声です、どうぞ!
音声の音量にご注意ください!
舌を出し始めたらスタミナが切れて勝負が動き出します。でも舌を出した状態から巻き返す牛もいるので、勝った時は感動の涙です。
対戦が終わったら綺麗に洗ってお酒で消毒をします。
牛も人も本気ですね!闘牛の取組にはクラス分けはあるんですか?
闘牛は体重によって、軽量級(〜850kg)・中量級(851kg〜970kg)・重量級(971kg〜)の3つの階級に分けられます。
年間通して30大会くらいあるのですが、その中でも春・夏・秋の全島大会(沖縄県闘牛連合組合主催の)が最高峰の大会です。その次に個人主催の興行があります。個人主催だと、お客さんを多く集めたいので実績のある牛に出場してもらおうとします。なので必然的にレベルも高めになります。その次は、各組合主催の支部大会です。
ファイトマネー事情も訊いちゃって良いですか?
ファイトマネーは勝った牛も負けた牛も同じ額です。お客さんから頂いた入場料から配当金が出るので、より集客の多い上のクラスにいくと額も上がります。同じ興行でも出場順が後になるほどファイトマネーも上がります。入場料金はそれぞれ、全島大会と個人興行は男性3000円・女性2000円。支部大会は男性2500円・女性2000円です。
闘牛ってお金になると思われがちなんですけど、全然そんなことなくて。みんな趣味の一貫でやっているので、むしろ世話代などでマイナスが出るんです。何でやっているかと訊かれれば・・・それは愛です!
出会いと別れの繰り返しの闘牛人生
久高さんの人生には闘牛がそばにあるわけですね。
そうですね、常に出会いと別れの繰り返しになってきます。やはり…闘牛といえど家畜です。ヤギ、豚、鶏さまざまな家畜とされる動物たちがいますが、それぞれ愛を持って育て食されます。
沖縄は昔、食生活が豊かではありませんでした。神様にお肉を供えそれを人間が頂くという風習です。だから闘牛も最後はみんなで頂きます。愛を持って育て強くなればなるほど、長い時間、一緒にいられる。最後は食されることで弔いとなります。愛を持って面倒を見たという自負は牛飼いはみんな持っています。朝から晩まで付きっ切り。責任を持って生物としての種もつないでいっています。
闘牛で町おこしをしているうるま市では、商工会が中心となって闘牛グッズも製作されています。闘牛まんじゅう・闘牛せんべいはうるま市内の協力店舗で購入することができますよ。
そんな久高さん、なんとオリジナルグッズを個人でも作っていました!
バッグに闘牛バッジ、なんてファンシーなのでしょう!
クリアファイルやカレンダーも製作しています。カレンダーをめくってみましょう・・・1月・2月のページ、さっそく迫力抜群の写真が使われていますね〜
あれ?上の写真に写っているこの方、どこかで見たような気が・・・
あ、岸本さん!
以前、ヤギの生産農家ドキュメンタリーの記事で取材させてもらった、もとぷらすの牧場長・岸本さんじゃないですか!!
奇遇です!お疲れさまです!今思うと、牛飼いの雰囲気は初めてご挨拶した時から実は感じていました!
他にも、沖縄県内で放送されているRBCiラジオの番組ミュージックシャワーとタイアップしている「キラキラカールちゃん」の活躍も新たな闘牛ファンを獲得、観戦ツアーも企画されるほどです。
闘牛の魅力を伝えるために、今年の2月1日には、久高さんと闘牛アナウンサーの伊波大志さんで東京にて闘牛トークライブも開催しました。
「闘牛に興味を持ってくれる人が増えれば、今後も牛飼いの人も活動を続けることができて、闘牛文化も維持できる。だから私も頑張れている部分はありますね」
さあ、闘牛場に遊びに行こう!
闘牛こそ、百聞は一見にしかず!大きな牛が角を絡めて闘う姿、声を張り上げて牛を鼓舞する勢子さんの情熱を目の当たりにすると、その迫力とエンターテイメント性にきっと虜になるはずです!今後のプログラムは以下の通り。闘牛は、あなたが来るのを待ち焦がれている。
闘牛に関する情報はこちらでチェック
今回インタビューしました久高幸枝さんと、伊波大志さんが運営しているブログです。
http://togyu.ti-da.net/ 「闘牛を観戦しよう! | いいなぁうるま市」
うるま市経済部商工観光課が運営している、
闘牛の歴史や技解説、大会スケジュールなどが掲載されているページ。
http://www.city.uruma.lg.jp/sp/iina/2394