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ハイサイ!夏が終わって寂しさが募っていく、夏男ユウノスケです。
ビアフェスタや大綱挽などのイベントが次々と終わっていき、来る週末をどう過ごそうか悩むばかりです。何かいい遊びがあったらぜひ教えてください。
おっと、そんな僕に朗報が!沖縄の旧暦だと、記事を書いている今日(10月19日)は、なんと8月30日!なんだ、夏終わってねーじゃん。あーよかった。うっかり夏をウークイしたつもりになってしまっていた。沖縄は、ほとんどの行事を旧暦で行いますから、ここは旧暦に従って夏を留めておきたいところです。
さっきから、旧暦とかウークイとか言われてポカーンとしている方も多いかと思います。何かと独特な文化が多い沖縄、たしかにその通りで暦の形式から風習、それに伴って行事まで独特なものばかり!
今回はそんな独特な沖縄の行事や風習をガッツリとご紹介していきたいと思います。
沖縄の行事や風習を語る上では欠かせない2つのキーワード
これからどんどん沖縄の行事や風習をご紹介していきたいと思いますが、その前に前提知識となる2つのキーワードをご紹介!
はるか昔のカレンダー?旧暦とは
旧暦とはひとことで言うと、月の満ち欠けを基準に定められた暦のこと!太陰暦(たいいんれき)とも言いますね。現在日本で通常使用されている暦は、地球が太陽の周りを一周する時間を約1年とした太陽暦(グリゴレオ暦)というもの。この暦を「新暦」として、太陰暦を「旧暦」と呼んでいます。
月の満ち欠けと太陽からの影響を受ける地球の季節は直接の関係はありませんので、太陽暦と太陰暦の日付はどんどんずれていきます。そのため実際には、3年に1度、13ヶ月の年を入れて太陽暦(今使われている暦)と太陰暦(昔の暦)のずれを解消する「太陽太陰暦」という暦が採用されています。
そうすることで、1ヶ月前後旧暦が遅れた日付で維持されるということになっています。実際に計算で日付のズレを計算するのはさすがに無理があるので、沖縄の家庭では旧暦も乗っているカレンダーを使用しています!
県外の方にはほとんど馴染みがないかもしれませんが、ウチナンチュは年内最大の行事「旧盆」をはじめとする様々な行事のために、この「旧暦」という暦を使います。意外にも生活に直結してきますので、移住された方は頭の片隅にでも覚えておくことをおすすめします。
トートーメー、ウートートーとは
簡単にいうと、沖縄の古くからの習慣である先祖崇拝のことや、位牌・仏壇のことをさす言葉。多少難しいので、以下に簡単に説明していきます!
ウチナンチュは、家族の結びつきを大事にしているので、亡くなったおじーやおばーや親戚などを崇拝して、色々な行事を行います!その際に中心となる、沖縄特有の大きな仏壇(ウチナンチュは、仏壇をトートーメーと呼びます)のことを指すこともあれば、沖縄特有の先祖崇拝文化のことを指すこともあります!
ちなみに沖縄では「仏壇に手を合わせて拝む」ことを「ウートートー」といい、よく大人が子どもたちに「トートーメーにウートートーしなさい」と声をかけたりします。
これから紹介する旧盆やシーミーなどの行事や多くの習慣がこのトートーメーをベースに行われていくので、こちらも覚えておくと良いでしょう。でも、そんなに仰々しいものではなく、おじーやおばーが亡くなった後も慕い続けている文化と言うイメージですね。
多くの場合、トートーメーは長男が家と一緒に引き継ぎます。なので、長男に生まれたかそうでないかは沖縄社会では本土よりも多少重要な意味を持ちます。これはまた今度に…!!
沖縄の行事・風習まとめ
さて、ここまで長くなりましたが、ここからは本題である行事や風習をテンポよく項目ごとにご紹介していきたいと思います!
ちなみに、行事の中でも僕がテンションが上がるものが後半になるように並べましたので、ぜひ最後までご覧になってみてください。旧暦の日付にプラス1ヶ月くらいすると、おおよそ普段使う暦の日付になります。例えば最初に紹介するムーチーは例年1月上旬ごろがその時期ですね。
ムーチー(旧暦12月8日)
一年間の厄をはらうために、魔除けの効果があるとされるカーサ(月桃)の葉っぱで包んで蒸した、餅を食べて良い一年にしようという行事!その際に、食べる餅のことやその日のことも「ムーチー」と呼びます。
赤ちゃんが生まれて初めてのムーチーでは赤ちゃんをみんなで守っていこうという思いを込めて近所や親戚にムーチーを配る「ハチムーチー」や、子どもの年齢の分のムーチーを天井からぶら下げて健康を祈る「サギムーチー」、特に長男の時には特別大きなものをぶら下げる「チカラムーチー」まで、何かと子どもと縁のある行事です!
ウチナンチュの中でもすごくポピュラーな習慣で、ムーチージョーグー(ムーチーが大好きなうちなんちゅ)もたくさんいます!学校給食でも旧暦の12月8日には、パックにされたムーチーが出されたりとやはり馴染みの深いものです。
蒸すことでカーサの甘い香りが餅に染み付いて、香りがとても味わい深いのがムーチーの美味しさ!僕も小さな頃からおばーのムーチーが大好きでたくさん食べて育ちました。味なしの白、黒糖が練り込まれた黒、紅芋が練り込まれた紫などのバリエーションがあります。
沖縄では、ムーチーを食べる旧暦12月8日を「ムーチービーサー」と呼んで、一年の中で特に寒い日とされています。
旧正月(旧暦1月1日)
沖縄では正月も旧暦バージョンがあります!もちろん通常の暦である新暦でも、がっつり正月を祝いますが、旧暦の正月も残っています。呼び方は略して「旧正(きゅうしょう)」と呼ぶのが一般的!
港町の糸満や離島などは今でも旧正月をメインとしてお祝いするような場所もあります!僕のおじーは離島出身なので、おじー側の親戚からはお年玉を旧正月でもらった経験を覚えています!もちろん旧正月をメインでお祝いする地域では、学校が休みになることも!
TVでは2月前後の旧正月の時期に琉球民謡を演奏する特番が流れたりと名実ともに正月ムード!これも沖縄ならではですね。
シーミー(旧暦3月上旬)
沖縄式の大きなお墓で、親戚一同集まって「クヮッチー」という沖縄流のごちそうを食べるという墓参りのこと!正式には「清明祭」と書いて「シーミー」と読みます。
お墓とは思えないほどに賑やかにごちそうやユンタク(おしゃべり)を楽しんでいるのが沖縄ならでは!重箱いっぱいに詰められてクヮッチーも美味しいですし、たまにしか会うことができない親戚に会うこともできるので素敵な行事です。
中国から伝来した行事らしく、緑が綺麗な季節に土地の神様へ感謝をしながら、ご先祖様やご先祖様の眠るお墓を大事にする気持ちを再認識する日という意味合いもあるのだとか!(諸説あります)
イメージ的には、「お墓でピクニック」に近いかもしれません!ご先祖様の眠るお墓で賑やかに楽しむのは、先祖孝行になると考えられているので楽しくてもいいのです。
うちなんちゅの家族は、亡くなってもずっと家族の絆が絶えず、暖かいなーと再認識します。これは豆知識ですが、最近話題のレモンケーキはこのシーミーのお供え物やおやつとしても用意されますよ。
旧盆(ウンケー・ナカビ・ウークイ)(旧暦7月13日~15日)
さぁやってきました「旧盆」!これが沖縄の伝統行事の中で、一番のメインイベントといえるのではないでしょうか(この日に合わせて各地でエイサー祭りも行われます)。基本的には県外のお盆と似たような形かもしれませんが、色々なところに沖縄ならではのポイントがあります。
まず、3日間の初日を「ウンケー」といいます。ウチナーグチで、「お迎え」という意味。この日は、ウンケーじゅうしぃという沖縄風炊き込みご飯を、お線香と一緒にトートーメーにうさげて(お供えして)、夕食には親戚みんなで頂きます。
なぜか、僕の家では、お供えしたじゅうしぃを食べた方がカリーがつく(縁起がいい)と言われていて喜んで食べるシステムが構築されていました(笑)。これもうちなんちゅあるあるなんでしょうか?同じ経験をしたことがある方は教えてください!
2日目を「ナカビ(ナカヌヒー)」といいます。この日は、各家庭によってそれぞれですが、冷やしそうめんをお供えすることが多いかと思います。また、親戚のお仏壇にお中元を持ってウートートーしに行くのもこの日が多く、家庭によっては1日がかりで沖縄中にいる親戚の家を回るうちなんちゅも!大変かもしれませんが、親戚の繋がりの広さと強さを伺えますよね。
最終日は、「ウークイ」と呼びます。この日が旧盆の中で最高潮の盛り上がり!あの世から来たご先祖様をお送りするために親戚一同トートーメーのある家に集まり、宴会を行います!
家族が大好きな沖縄らしくてユニークなのが、ご先祖様にできるだけ長くいてほしいとの理由で夜遅くまで行う家も多いです。地域によっては、ギリギリまで粘ってもらって次の日の夜までということも(ただ飲みたいだけの節も…笑)!
でも最近では、お仕事や学校がある人も増えて、早めにウークイをしてしまうことも増えてきているそうです。
最後は、家の門で旧盆中にトートーメーにお供えした花や親戚一同でお供えしたお線香、沖縄で昔からあの世のお金と言われる「ウチカビ」という薄い紙のまとまりを燃やします。またみんなでウートートーしてご先祖様をお見送りして旧盆が終了です。
そして、最後はこんな感じになります。
この「ウークイ」でぜひ覚えておかないといけないのは、多くの県内企業の職場では
・ウークイの日は休み
・ウークイの日は早めに終業
・ウークイの次の日は休み
といういづれかの処置が取られます。
県外のお盆休みとはずれているのでリモートワークで沖縄で働いている方など県外と連動して働いている方は、何かしらの影響があるかもしれないので要注意です!
エイサーをしながら街を練り歩く道ジュネーやっていた。明日から沖縄は旧盆の季節。ウンケー、ナカビ、ウークイを迎えます🙏🏼 pic.twitter.com/pdoOGSJFkZ
— shinichiro kinjo (@illshin) 2017年9月2日
また、お盆の風物詩であるエイサーはこの旧盆中に各集落を練り歩いて行われます(そのことを道ジュネーといいます)。
エイサーを演舞するのは、各地域の自治会に所属する「青年会」で、15~25歳くらいまでの若い人が演舞しています。あの世から家に帰ってきたご先祖様に喜んでもらうためにこの時期に行われるというエイサー。これがあるから旧盆が盛り上がるとも言えますね。
旧盆の前になってくると公民館からエイサーを練習する音が聞こえてくると、ウチナンチュは夏を感じて、この音が聞こえなくなると夏が過ぎて行くのをちょっぴり寂しい気持ちでむかえます。なんと中には夜12時近くまで道ジュネーを行う、気合いの入った青年会も!特にエイサー街としてブランディングをしている沖縄市などが盛んと言えるでしょう。
まさに風物詩ですね!ちなみに、沖縄のスーパーはどこも旧盆前は旧盆セールを行うので、旧盆に関係のある食品や日用品を安く買えてお得です。ただ、店内はめちゃくちゃ混雑するので要注意!
沖縄独自の風習、いかがでしたか?
沖縄ではごく当たり前におこなれている独自の風習、いかがでしたか?
沖縄の伝統行事は、少しスピリチュアルな雰囲気の漂う独特なものばかり。初めの頃は驚くものがいくつかあるかもしれませんが、どれもウチナンチュが楽しんで行なっているものばかりなので、機会があるなら積極的に参加してみるといいかもしれません!
結局最後には、ビールとごちそうがメインで親戚同士でワイワイする形になりますので、気をはらずいつものノリでいけます!(笑)
このような行事を体験することで、よりディープな沖縄の魅力に出会えるといいですね♪
おまけ!覚えておくと行事で使える便利なウチナーグチ!
これまでご紹介した、沖縄ならではの習慣や行事で使えるものや、まるで迷信のようなウチナーグチまでいくつかご紹介!
これであなたのウチナンチュのレベルもUPすること間違いなし?(笑)
いいそーがちでーびる
沖縄の正月の挨拶。直訳すると「良いお正月でございます」という意味!「なんて直球な!!!笑」と地元の僕でも驚いた経験のある正月に定番のウチナーグチです。
通常のお正月でも、旧正月でも、特にご年配の方が言います!これを言えると、本当に「いいそーがち」になりそうですよね〜!
ウートートー
前述もしましたが再度ご紹介。主に「トートーメーに手を合わせること」という意味で使います!旧盆やシーミーでちびっこに「ウートートーしたねー?」とか聞きますね!うちなんちゅには、某仏具屋さんのTVCMでもお馴染み!
うちなんちゅって語尾を伸ばすの好きですね!
ウチカビジョーク
これはウチナーグチではありませんが、うちなんちゅのおじさんの習性です。ウークイをするときにウチカビというあの世のお金を燃やすことであの世にお金を送金するということを上で説明しましたが、その際に上手いことを言おうとするおじさんが各家に絶対に一人はいます。
「はい!オジー!タクシー代!」
「はい!オジー!スナック代!」
「オジー、ちゃんと所得税払いなさいよー。」
あたりが有名ですね。書いてて恥ずかしいです。
スベったらご先祖様不孝だなということも気にも止めず果敢に挑むおじさんの背中はちょっぴり汗臭いです。
くすけー!
くしゃみをすると「くすけー!(糞食らえ)」と言って悪いものをはらうという沖縄の迷信!英語でいう「Breath you」と近い感じになるかと思います。これはどこの地域にも、その地域の言葉であるかもしれませんね!
マブヤー、マブヤー
驚いたときに、魂が体から離れないように言う言葉!
「マブヤー(マブイ)」というのが魂のことです。それを口にすることで魂を留めます!本来は、「マブヤー、マブヤー、ウーティクーヨー((魂よ 魂よ戻っておいで))」というすごく長い呪文のようなフレーズだそうですが、短く言うことが多いですね。
おきなわマグネットでも取り上げられている、琉神マブヤーも「魂」という意味のこのマブヤーからきているはずです!