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こんにちは、ライターのナガハマです。
最近は、「店で呑む」を超えた「街で呑む」というスタイルが定着してきたように感じます。
そんなわけで、「流浪な楽しみ方」をしている人に教えたい、次にブレイクするであろう通りが、浦添の屋富祖通り(やふそどおり)。
かつては映画館もあり、国際通りと双璧を成す盛隆を誇った通りだったのですが、今では昼間のシャッターが目立つスナック街という印象でしょうか。
しかし、雰囲気のあるノスタルジーさと溢れ出る人情に、屋富祖Lover(ラバー)は増殖中。屋富祖の再ブームが起きようとしています。
その中でも今回は、財布にも優しいはしごプランをご案内。読者のみなさんも屋富祖通りをバーチャル体験している気分になって頂ければ…
屋富祖通りは、このあたりです。
今回私が案内をするお相手は、「屋富祖が気になる、案内してくれ!」と前々からご熱心だった、「おきなわマグネット」の粟國社長です。
それでは参りましょう!
《1軒目》セルフ立ち飲みはまるで大人のゲームセンター『ニューヤフソ』
こんなお店を屋富祖界隈で待っていました。
昨年末にオープンしたばかりの立ち飲みコイン式冒険酒場「ニューヤフソ」。お酒はなんと基本的に自動販売機でセルフサービスです。
生ビール300円に発泡酒200円と激安。
まずは乾杯。一杯目は日が昇っている明るいうちに!というのがこれまた醍醐味。
ここ、大人のゲーセンです。100円入れてみて下さい。
おぉ!楽しいー!
焼酎・泡盛・ウイスキーは100円。この自販機は特注だそうです。
酎ハイやハイボールが飲みたければ、割り材や添え物を買って作るんですよ。ハイボールなんて150円で作れますよ。
立ち飲み屋さんだし、焼鳥食べようか。
焼鳥を焼くのも、もちろんセルフです!
お店の中央にある焼き場で周りのお客さんとコミュニケーションを取りながら。常連さんが部位ごとの美味しい焼き方を教えてくれました。素材も新鮮そのもの。豚一頭買いで、この日は希少な部位もあるとのことで織り込んでもらいました。
最高!超楽しい!こういうこと、こういうこと!
焼鳥を始めとしたその他のアテも間違いない。美味い・安い・楽しいの三拍子が大爆発です。
あとですね、ここ嘘みたいな企画があるんですよ。1ヵ月飲み放題会員ってのがあるんですけど、それがなんと月額3500円です。
もっとも、店主の思い付きで始めてしまったものなので、いつ終わるかわからないとのこと。お酒の種類は限定されますが毎日来て飲んでもらっても構わないという大盤振る舞いっぷり。全く、酒飲みをダメにするお店ですよここは!
この1ヵ月飲み放題企画、実は地域の「こども食堂」の運転資金として活用されているんです。「小中高生がお店に来てくれたらお腹いっぱい食べて良いよ」という店主の愛ある発案に、お客さんが賛同する形で成り立っています。
1ヵ月飲み放題会員、なります!
このように店内で、囚人のようなチェキ写真を撮影し、それがそのまま1ヶ月飲み放題の会員カードになります。
地域の人たちが集い、大人が子どもにそっと手を差し伸べる、まさに公民館のような酒場が、この「ニューヤフソ」なんです。
なんか本当に気持ちの良いお店だな。もう今日はずっと、このお店で良いよ!
いや、今日はどんどん回りますよ。この後に4軒待ってますから!
【店名】コイン式冒険酒場 ニューヤフソ
【住所】沖縄県浦添市屋富祖1-4-1
【営業】17:00-23:00
【定休】日曜
《2軒目》赤提灯が目印、教えたくなる隠れ家は食材にも自信『おきなわばんざい』
通りから一本入った小路にある通称「しょんべん横丁」。ここに31歳の男2人が営む小料理酒場が昨年秋に誕生しました。31歳と言えば、屋富祖の間では超若手です。
ここはですね、まずハイボールにレバー串を食べて下さい。
また焼鳥!?
朝引きのやんばる若鶏を串打ちしているので、トロットロです。個人的に塩厚めに振ってもらうのがオススメです。
ここ、週2で僕来ています。最初はハイボール、そしてキープの芋焼酎を飲みながらレバー串とナスの煮浸し、味噌だれ生ピーマンを頂く。これがマストです。
さらにこの店の雰囲気を楽しむコツは、那覇の繁華街でもない、北谷の海が見えるおしゃれカフェでもない“屋富祖で飲んでいる自分”という存在に浸るということ。飾らない私!という気持ちになるのがポイントです。
しかし、30代がお店をオープンする場所としては少しいぶし銀過ぎる印象があるのはぬぐえない。
何年も借り手がいなかったテナントだったんですけど、そこに惹かれてしまって。物件決めてDIYで内装を整えて、1ヵ月でオープンしました。
ここがオープンしてからというものの、同じテナントに若い店主のお店が確かに増えました。まさにネオ屋富祖のニューリーダー。
クリエイターだったり、何か表現している人が集うおもしろい場所にしたいんです。ここでの出会いで何かが生まれる、みたいな。イメージするのは新宿のゴールデン街のような場所ですかね。
…と話していると、浦添市議の上江洲徹也さんがご入店。
地域の先輩である上江洲さんと、屋富祖の懐かしい話や発展著しいこれからの未来の話で乾杯。こういう集いの場になるのがこの店、この街の魅力です。
通常のメニューには無い焼酎や日本酒も、限定で飲める場合があるので、カウンター越しにオススメを訪ねるのも良いかも。おそらく、ノリノリで紹介してくれます。
ここは、ボトルキープをして通うという楽しみ方がピッタリ!
おっさん2人がお待ちしています。短パンにサンダルで気軽に来てね!
【店名】おきなわばんざい
【住所】沖縄県浦添市屋富祖2-17-2 2F
【営業】18:00-翌2:00(あくまで“頃”です)
【電話】080-6499-4073
【定休】日曜
屋富祖のシチリアにようこそ
屋富祖通りは10分もあれば端から端まで散策することができます。
もう屋富祖の雰囲気を浴びまくってるな〜
次の店に行くまで、せっかくなので通りの紹介させて下さい。
ここの中央ミート、老舗なんですけど惣菜が美味い!てびちとメンチカツは是非食べて欲しいです。(夜なので閉店してますけどね)
ここの天ぷら屋さん、一個20円です。現代に一個20円で天ぷら売ってるお店、あります?(夜なので閉店してますけどね)
この東京理容館、1960年代からあります!なかなか取材が難しいお店なので、お客さんで行かないとお話聞けないんですよ。(夜なので閉店してますけどね)
あ、ここ一回挟みましょう!多分僕しかそう呼んでいないんですけど『屋富祖のシチリア』です。(シチリアとは、地中海に浮かぶイタリアの島のことです。)
コンビニヤフソ?どこにシチリア感があるからよ?
この店先にある真っ白なテーブルと真っ白なチェア。洗練されているでしょう!
何がよ!
いい大人が、お店からの推奨を受けて外で乾杯ができる。それも屋富祖の匂いを嗅ぎながら。
…良いな!屋富祖良いな!深い話してしまうな!!
《3軒目》スナックも外せない、これぞ人間交差点『むじゃき』
屋富祖シチリアを出て、次は屋富祖の真骨頂であるスナックに行こうという流れに。
ここの『むじゃき』という店名が実はずっと気になってて…
やってる?
ナイス瞬発力!!
お店に入ると、優しいママがお出迎え。そしてカウンターにはご陽気なお父様方。
30代の我々が行ったら「あら、若い子」なんて言われる感じたまらないですよ。
集え、20代30代!
この雰囲気、なぜか落ち着きますよね。これぞ屋富祖の王道だ。
ここでは、先輩方の人生の話をつまみにお酒を飲む。「あんなこともあった。こんなこともあった」という話を聞かせてくれて、最後には頑張れよ若者!と言って背中を押してくれます。
常連のお父さんから、男の生き様と女の口説き方を教えてもらいました。
まさしくスナックは人間交差点。今宵もまた、屋富祖の母と屋富祖の父が増えました。
【店名】むじゃき
【住所】沖縄県浦添市屋富祖4-6-14
《4軒目》カラオケも楽しめるセンベロ酒場、屋富祖のスカイラウンジ『カリス』
次のお店は「むじゃき」の隣のビルにある「BARカリス」。国道58号線近くにあるビルの最上階です。
さっきまで一緒だったお父さんも、同じビルの行きつけの店に向かうのことで共にエレベーターに。
「キャンプキンザー」を見下ろせる絶景スポットは、ここを差し置いてないでしょう!
屋富祖でも、今流行りのセンベロ酒場が増えています。その代表格がここ。
入口からドカーンとセンベロの案内が。ドリンクの種類も豊富です。
カラオケ有り・ステージ有り、提灯もぶら下げ年中ビアガーデン状態。
ここはですね、まさかのセンベロをこの間から始めたんですよ。ドリンク3杯と料理1品で1000円!しかも何回でもセンベロ頼んで良いんです。メニューはこちらです。
※センベロ2回目以降はドリンク3杯のみ。
ウーロンハイ下さい!フードもこんなに沢山の中から選べるの!?
そうなんです。そもそも200円からフードあるので注文しやすいんですよ。僕の圧倒的おすすめは『自家製豆乳チーズ』です。
舌触りなめらかでクリーミー。風味も最高なんですよ。これだけで食べても良いんですけど、他の料理に塗る、みたいな食べ方もおすすめです。スーパーで卸してくれないかなぁって思うくらい美味いです。
いやこれマジで美味いな!他におすすめありますか?
どれもおすすめですけど、魚を食べてみて下さい。
じゃあ「本まぐろ刺」下さい!
食わせて!食わせて!
(このおじさん超ごきげんだな!)
これは、カラオケバーで食べられるレベルじゃないくらい美味いな!…いやマジで美味い!
那覇の魚市場「泊いゆまち」から直接仕入れているので鮮度には自信があるんです。
今はシャッターが降りていたり、若い人が少ないイメージ、よく言えばディープな場所ですけど、僕は勝手に屋富祖の未来は明るいと思っているんですよ。
僕も屋富祖が地元なんだけど、学生の頃は何とも思っていなかったんだよね。人通りが少ない寂しい街だなとしか思っていなくて。でも歳を重ねていって地元を盛り上げたいという気持ちが強くなって。最近は同じ志の若い世代が増えて来ているよ!
オーナーの松島さんは、通り会のメンバーにも名を連ねています。屋富祖通りにある「DiscoBar BROS」「BAR Natural」とのコラボイベントで「ヤフソミュージックフェスタ」を主催。チケット1枚で各店舗を自由に行き来でき、店内ではDJプレイやライブ演奏が行われ、お酒と音楽に酔いしれることができます。
まあ、カリスはいつでもフェスみたいなもんですけど。
『時代おくれ / 河嶋英五』を歌っている様子。
『LOVE SONG / CHAGE&ASKA』を歌っている様子。
僕、一度友達と『センベロで軽く飲んで帰ろう』ってノリで入ったら奇跡的な楽しさで5000円使っていました。朝まで居て、隣のお客さんとGLAYとかPUFFYとかで盛り上がりすぎて。
【店名】BARカリス
【住所】沖縄県浦添市 屋富祖4-5-13 コスモビル 7F
【営業】17:00-翌5:00
【電話】098-878-8611
【定休】日曜
《5軒目》最後はやっぱりヤギでしょう『玉屋』
屋富祖のディープナイトはディープなまま完結させるのが鉄則。
沖縄そばやラーメンもありますが、ここはやはりヤギでしょう!しかも屋富祖通りだけで、ヤギ料理屋が3軒もあるのだ。ヤギに困らない!
おいヒロキ、ヤギ行くぞ!
沖縄の人(特におじさん)は、飲んだ後の〆にヤギ汁という選択肢がある。これはもはやアイデンティティを刺激するくらいのソウルフードであり、食べることで誇らしい気持ちになってくるから不思議です。
ヤギについて深く掘り下げた記事がこちら。
これが『ヤギ汁』です。ヤギの臭みを抑えるためにたくさんのヨモギが投入されています。
それでもクセを感じる人のために塩もトッピングされています。
「ここまでしてまでどうして食べるのか」と外野は言うが、「そこまでしてでも食べさせてくれ」というのがヤギおじさん達の心理なのだ。むしろ臭ければ臭いほど最高という人もいる。
小鉢(写真左上)にあるのは、ヤギの血と野菜などを炒めた「チーイリチー」。和訳すると「血炒め」です。
これ明日は絶対全身臭くなるけど、美味しいからいいや!
〆はどう考えてもヤギだな!
どうでした屋富祖の夜は?
いや最高だな!まず、値段も安くて美味い店が多いし、お客さん同士の距離も自然と近くなるから、交流もあって超楽しいな!
今回は気軽に入れる店シリーズでしたけど、本格的な割烹屋さんも隠れ家的ワイン酒場もあるし、けっこう教えたくなる店満載なんですよ。
これは屋富祖通りに来るたびに発見がありそうだ!また来ようぜ!
と、ヤギ汁をすすりながら一日をおさらい。粟國社長もすっかりと「屋富祖界隈遊び」を満喫されたようです。
【店名】山羊料理 玉屋
【住所】沖縄県浦添市屋富祖4-2-10
【電話】098-877-1982
【営業】15:00-翌5:00
もっと時間があれば、餃子が美味い『ラーメン酒場あいき』や、沖縄そばなら『すばや』、屋富祖のナイトスポット『Discobar BROS』、超レトロでミーちゃんとケイちゃんっていうお姐さんがやってる『カラオケスナック裕次郎』なども紹介したかったんですけどね〜。
「キャンプキンザー」も返還されて、屋富祖通りから国道58号線を挟んだ浦添西海岸は、今後リゾート・商業エリアとしても大きな期待を掛けられています。
ますます右肩上がりの盛り上がりを見せてくれそうな浦添・屋富祖通り。勝手に観光大使として人情溢れるお店をご紹介させて頂きました。今回登場したお店もそうですが、路地裏を訪ねてふらっと立ち寄る新しい出会いも、散策の醍醐味のひとつですよ。