share:10
沖縄本島中部は闘牛が盛ん。
牛と牛が角を突き合わせて闘う「ウシオーラセー」のことですね。
そのダイナミックな光景はさることながら、大衆の前で一生懸命に闘う牛を傍らで鼓舞している勢子(せこ)さんの迫力にも圧倒されてしまいます。
そして、その逞しさを具現化したヒーローが沖縄で大活躍中なんです。
その名も・・・
闘牛戦士ワイドー!!
これまで、闘牛イベントなど、闘牛界に大功績を残してきました。
「闘牛戦士ワイドー」が来年4月にテレビドラマ化されることが決定しました!
そして先日、ドラマ化決定にあたり制作発表記者会見が開催されました。
その様子を、私、ライターナガハマがどこよりも深堀りでみなさんにお届けします!!
“TVドラマ「闘牛戦士ワイドー」あらすじ”
大の闘牛好きで、自身も「勢子」を目指す勢矢は、ある日空から降ってきた光に撃たれ、不思議な力を手に入れる。
時を同じくして、怪人によって人々が牛にされるという事件が発生する。幼なじみのユカリまでもが牛にされたことを知った勢矢は、ユカリを元の姿に戻すべく、怪人「ウシナー」たちに闘いを挑むのであった。
そりゃあみんな大好きな牛さんと言えど、幼なじみのユカリが牛にされたら堪ったもんじゃない!そしてたぶんだけど、勢矢はユカリのことが好き!たぶんだけど!
闘牛は猛々しい勝負の世界の中である一方、
愛情を持って共に暮らしていく家族の一員のような一面もあり…
そういった体温を感じるヒューマンドラマ的な部分も作品には描かれているそうです。
ドラマ制作記者会見
進行は闘牛アナウンサーの伊波大志さん。
場内実況はもとより闘牛文化を知ってもらおうと県外にも飛び出す全力広報マンです!
後にお伝えしますが『闘牛戦士ワイドーの生みの親』です。
自身も闘牛の聖地であるうるま市石川の出身で、実家も牛飼いということもあり、今回の作品の闘牛監修も務めています。
さて、制作者のみなさんから、続々とほとばしる気持ちを頂戴しましたよ!
制作元である、ワイドーaiプロ株式会社の代表取締役の新垣壮大さん。ドラマ化実現にあたり、出資者を募るなど奔走した貢献者の一人です。
「ロケ地の90%以上がうるま市内(沖縄県中部)です。ドラマを通じて知ってもらい、闘牛が観光につながったり、商業につながってうるま市が盛り上がって欲しいと思います」と地域に懸ける想いを話してもらいました。
そうなんです。
今回のドラマでは、「勝連城跡」「海中道路」「伊計島のジャネーガマ」などうるま市の文化・歴史を感じられる場所が多数登場します。
地元ドラマならではの親近感を味わいながら、ストーリーを通じて学びももらえる、ということなんですね。
そうそう、新垣社長も、セリフはありませんが酔っ払いの役で1.5秒だけ出ているそうなので、そこも見どころです(笑)
メガホンを取ったのは、平一鉱監督(写真左)。
「取材を進めて行くうちに、牛主の方がどれだけ愛を持って接しているかが分かりました。闘牛をどのように分かってもらうか、そしてエンターテインメントに落とし込んでいくか、という部分を大事にしました。うるま市の魅力が、沖縄全島に、日本に、世界に広がる作品になれば良いと思っています。」
ワイドー生みの親である伊波大志さんに、最初にドラマ化の話を持ちかけたのが、脚本を担当した山田優樹さん(写真右)でした。
「過去に、『琉神マブヤー』や『ハルサーエイカー』といった沖縄のヒーロードラマを作ってきた経験を次の作品に活かしたいと思っていたところで、気になっていたのがワイドーでした。闘牛には、ヒロイズムや牛飼いさんの大きな愛情など、ヒーロードラマを作る上での必要な素材が全部揃っています。また、ロケ地のうるま市は(文化・歴史的に)沖縄らしい土地柄で、沖縄のことを描く上ですごく踏み込める地域でした。」
中心キャストは県内外で活躍する沖縄出身の俳優陣!
東京と沖縄で開催されたオーディションには300人近いエントリーが。その中から選ばれたキャストのみなさんをご紹介です。
主役・名嘉真勢矢役に、小橋川健(たつる)さん。
「最初、話を聞いた時に『この役は自分しかいない!』と思っていました。伊江島の出身で実家が牛農家をしていて、妻もうるま市石川の出身なので、これは自分だ!と。撮影中は、闘牛を愛する気持ちを感じつつ、周りのサポートもあり最高な環境でやらせて頂きました。あとはもうドラマを観て頂ければと思います。」
小橋川さんは、撮影一週間前から役作りの「修行」と称し、牛飼いさんのところに通い詰めて、その世話の手つきは牛舎の方も褒めるくらいまでになったそうです。
天願ガイ役は平隆人さん。
「沖縄を盛り上げられたらとの思いで、オーディションを受けました。僕も3日間牛飼いさんのお手伝いをさせてもらう中で闘牛に触れ合い、その熱い想いを感じてきました。撮影前に、自分自身が闘牛を好きになれたというのが大きい経験でした。」
伊波ゴウ役に兼城歩睦くん。まだ小学校2年生です。
「普段は龍神Jrという団体でエイサーをしています。初めてオーディションで選ばれて撮影もできて楽しかったです。泣く芝居が難しかったです」
今までのヒーローと比べ、子役の存在が重要な人物として大きな役割を果たすんです。彼の役での成長の過程も、今回のドラマでは、一つ大きなポイントですよ!
主題歌は、なんとなんとの「HY」が担当!
脚本家の山田優樹さんが、『HYに主題歌ってもらえないかなぁ』っていきなり言い出して。山田さんちょっとおかしい所があって、うるま市みんな親戚だと思ってるんですよ!誰か繋がっている人いるでしょ?みたいな感覚(笑)でもそれが、繋がっている人が居まして、オファーを出して快諾してもらって。それで、このドラマは行ける!って確信を持ちました。
そのHYのメンバーも記者会見に出席し、コメントをもらいました。
「力強くもあり優しい歌が作れるんじゃないかなぁと思っています。これを機にもっとたくさんの人に、闘牛やうるま市の素敵なところが広がってくれたらと思っています」(Gt 宮里悠平)
「今回、僕らを出演までさせて頂きありがとうございました。僕らはバンドをやっていてCDを出すのにもお金が掛かります…。出資者を集めるのが得意な新垣社長とこれから良い関係を築いて行きたいと思います(笑)」(Ba 許田信介)
「メンバーがうるま市出身なので地元が大好きで、話が来た時にとっても嬉しかったです。正義のヒーローが教えてくれることもあれば、悪役が教えてくれることもある。夢を追いかける中で、いくつもの勝負を乗り越えて子ども達は大人になって行って、勝つこともあれば負けることもある。敗者にどういう言葉を掛けてあげるのか、そして敗者になったときにどういう気持ちになるのか、というのを歌に表現できたらと思っています」(Dr. 名嘉俊)
「ワイドーを最初見た時には、他のヒーローと比べてスーツが剥がれたりしていて、こんなヒーローもいるんだなと思いました(笑)その姿も、支えている周りのみなさんの(おおらかな)人柄が出ていて、今日も良い意味で親戚のおじさんおばさんが集まっているようで、こんなに緊張しない記者会見は初めてです。みなさんの想いを主題歌に落とし込んで行きたいと思います!」(Key・Vo 仲宗根泉)
「たくさんの熱量が込められたドラマで、その魂が子ども達の夢を持つきっかけになればと思います。HYのメンバーもうるま市に住んでいるのですが、ローカルを大事にすることにより、人間味が溢れている作品が出て来て、世界に広がって行けるんじゃないかなぁと思っています。闘牛の掛け声であるヤグイのような、緊張感やパワーを届けられる曲を制作するので楽しみにしていてください」(Vo 新里英之)
スーツもリニューアル!新生「闘牛戦士ワイドー」登場
これが来年4月から、沖縄中を虜にする、新生「闘牛戦士ワイドー」!細かいこだわりをプロファイルしてみましょう。
頭はもちろん闘牛がモチーフ。
人に危害を加えない程度の隆々とした角もありますし、突き出た拳の先とつま先は牛の蹄を、まとっているマントのような布は闘牛で勝った時に背中に掛けられる優勝レイがイメージされています。
どこか、うるま市の伝統文化エイサーの衣装のような華やかさも感じられますね。
来年あたりは、このかっこうで「NAHAマラソン」走る人も出て来ることでしょう。
ワイドー生みの親、伊波大志さんインタビュー
今回の記者会見の司会を務めていた、闘牛アナウンサーの伊波大志さん。闘牛の現場でも、ラジオやテレビでもおなじみですが、実は、闘牛戦士ワイドーを最初に始めたのは彼です!原作者です。
普段乗っている車もこの通り。ナンバーはもちろん「109」(トーギュー)
─最初は個人の私物だった?
完全に自腹を切って生まれたヒーローです。しかも作ったもののスーツの中に入る人がいなくて、最初は自分の嫁が入っていました。よく見てもらうと分かると思いますが、どこかに女らしさが出ています!
─そもそも作ったきっかけは?
もっと闘牛を多くの人に知ってもらいたいというのがきっかけで、2013年に製作しました。その前の年にも、自分達の結婚披露宴を闘牛場で挙げたりして、闘牛に注目してもらおうとアレコレやっていました
─手作りヒーローがテレビドラマになるまではどういう経緯が?
まずは自分たちも楽しみながら、というのがスタートでしたね。徳之島の闘牛仲間に歌ってもらって、闘牛戦士ワイドーという曲名のCDも出しましたし、クオリティにこだわったポスターも作っていましたし。
それで、琉球放送の館内にもポスターを貼っていたら、脚本を担当した山田優樹さんが『ローカル感が出てて面白い!新しい見せ方が出来るかもしれない!やろう!』と。でもそれからしばらくは、予算の問題もあって進まなかったんですけど、現在のワイドーaiプロ(株)の新垣社長が資金調達で奔走してくれて。出資者の6人は、全員うるま市出身の方々。地元を盛り上げたいという想いで手を挙げてくれました。地域の協力なしでは始まらなかったプロジェクトです!
─ドラマを観ていて歴史や文化の勉強もできそうですね。
今でこそ闘牛場は、石川多目的ドームでの開催がほとんどになっていますけど、かつては屋慶名闘牛場や安慶名闘牛場もありました。そこも作品内では敵のアジトとして使われたりしています。うるま市には史跡も多いのですが、歴史的な場所が必ず何かで使われているので、うるま市外のみならず地元の人でも学びになると思いますよ。伊計島や宮城島など離島の綺麗な風景も出てきますし!
まずは一人の闘牛への愛で生み出された「闘牛戦士ワイドー」。そして地域を想うたくさんのみなさんの情熱がさらにその存在を大きくしていきました。来年4月が待ち遠しい…ボルテージを上げて放送開始の時を待ちましょう!
- 《放送情報》
放送局:琉球放送(RBC 3ch)
放送開始:2018年4月
過去に、闘牛女子の久高幸枝さんにインタビューした記事があります。これを読むと、春からのドラマがより思い入れを持って楽しく観ることができますよ!