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「点と点を結ぶように、この街を編集していく」本と地域をつなげるブックパーリーOKINAWAとは?

水澤 陽介

2016.11.04

ペラ

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ペラ、ペラ

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みなさん、こんにちは。ライターの水澤です。

突然ですが、みなさんは秋といえば何を思い浮かべますか?

恐らく多くの人は、「スポーツ・食欲・読書の秋」を連想したのではないでしょうか。

秋の風物詩に挙げられる3つの中で、現在とくに「本離れ」が進んでいることはご存知でしょうか。2014年、文化庁が実施した「国語に関する世論調査」によれば、1ヶ月のうち本を一冊も読まない16歳以上の男女が、全体の47.5パーセントもいるほどです。

これは、本土に限ったことではありません。沖縄でも同じく、本を読む人が減少し、昨今ネット上でも本を買える上に、電子書籍なども普及していくにつれ、街にあった小さな書店が1つ、また1つとシャッターを下ろしています。

そこで、今回は沖縄で本文化を盛り上がるべく立ち上がった人たちの物語をお届けします。

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写真左から、ジュンク堂書店 那覇店店長の森本浩平さん、くじらブックスの渡慶次美帆さん、言事堂の宮城未来さん、ボーダーインクの喜納えりかさん。沖縄全域で開催する本のイベント「ブックパーリーOKINAWA2016」の実行委員会の皆さんです。

    1. ・くじらブックス

http://kujirabooks.blogspot.jp

言事堂
http://www.books-cotocoto.com

・ボーダーインク
http://www.borderink.com

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モノレール美栄橋駅の駅前広場から沖映通りにかけて開催される「沖映通り えきまえ一箱古本市」を担当する我那覇祥子さん。

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「ブックパーリーOKINAWA2016」と「沖映通り えきまえ一箱古本市」を結びつけてきたボーダーインクの新城和博さん。

沖縄の秋に、三者三様のストーリーをご覧下さいませ。

ぼくたちは、この街を編集できる!

mizusawa水澤

「ブックパーリーOKINAWAのきっかけを作ったのは新城さんだ」と実行委員会の皆さまからお聞きしています。どのようなきっかけで始められたのですか。

shinjo新城

国際通りのそばにあるマチグァー(ここでは牧志公設市場、沖縄方言では「市場」のこと)の中に、0.5坪のスペースしかない古書店のとくふく堂がありました。そこで、2008年に開かれた「日本一小さな一箱古本市」が全てのはじまりです。

mizusawa水澤

0.5坪ですか!すごく狭いスペースですね。

shinjo新城

数名のお客さんが来たら、もうぎゅうぎゅう笑 そんな体験が実現したのも、とくふく堂の徳沢さんが「不忍ブックストリート 一箱古本市」の発起人である南陀楼綾繁(なんだろう あやしげ)さんに開催する許可をもらいに、東京まで行ったこと、それに尽きますね。当日は、僕と徳沢さん、そして興味を持ってくれた3名で本を並べました。いやー、よく本が売れました。

mizusawa水澤

出版者や本屋の店主さんたちが、みんなで本気になって、お客さんと顔を合わせて直接本を売ったのですね!笑

shinjo新城

その後、言事堂の未来さんたちが桜坂劇場で古本市を行ってたりと、那覇市でいくつもの本に関するイベントが動き出した。そのときに、福岡の出版社の方に聞いていた「ブックオカ」みたいなブックイベントが出来たらおもしろいなと思っていました。

mizusawa水澤

ブックオカ!?

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shinjo新城

ブックオカでブックマークナゴヤやブックマルシェ佐賀を始められた人たちが一同に集まるトークライブを行うことを聞いて、ついつい見にいったんです笑 いろいろ話を聞いてみると、これは面白い! 「沖縄でブックイベントするなら、沖映通りでしたいな」と空想していたときに、ブックオカがやっているけやき通りの姿を見たら、沖映通りにすごく似ていたんです。通りの人もなんとなく「これって何しているの?」と思いながらやるのもいいなと。

mizusawa水澤

ブックオカに参加したのがきっかけなのですね。

shinjo新城

はい。そこから、ジュンク堂の森本さん、言事堂の未来さん、沖映通り商店街のみなさんにお声をかけて始まったのが、第一回目の「沖映通り えきまえ一箱古本市」です。

mizusawa水澤

それが、現在も続いているわけですね。新城さんの予想通りですね!

shinjo新城

その後、ボーダーインクも参加している沖縄県産本ネットワークの出版社仲間やリウボウブックセンターリブロ、さいおんスクエア内にあった宮脇書店の皆さんに「一緒にやらない?」と声を掛けていきました。まさに、点と点を結んでいき、地図ができていくかのようにね。

img06(当時、新聞に寄稿した新城さんのコラム)

mizusawa水澤

那覇の街歩きに関する本「ぼくの〈那覇まち〉放浪記  追憶と妄想のまち歩き・自転車散歩(HP」も出版するほど、街のあった点を、小さな点さえしっかり掴めたのも、また新城さんにしかできないことだと思います。実際に、企画を形にしていくうえで、何か苦労なさったことはありますか。

shinjo新城

最初は、一人で始めたからもうバタバタ笑 それから、イベントを一緒に盛り上げてくれたメンバー、またおきえい通り会(那覇市沖映通り商店街振興組合)とやりとりを行ってきて、皆さまが協力的でした。道路の使用許可や警察の手配、さらに当日使用するパラソルなども借りてもらい、何から何まで対応してもらいました。沖映通りだったからこそ、このイベントは成立した。そういっても過言ではありません。

mizusawa水澤

偶発的に、自分たちと通り会で役割分担がなされたわけですね。

shinjo新城

イベントは、一人でできるものではありませんからね。あと、第一回目ときマチグヮー楽会の年に一度の集まりが重なっていたので連動しながら開催しました。例えば、沖映通りから歩いて、平和通りを通って、古本屋ウララまでのコースを作るために、スタンプラリーを企画して、ウララさんのお店にハンコを押せるようにしてもらったりなど。ただ、私ももともと参加しているマチグヮー楽会というマチグァーを愛する団体での昔からのお付き合いや下積みがあったからだと思いました。

mizusawa水澤

なるほど。地元の人にとってマチグァーの存在は大きいですか。

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shinjo新城

大きいですし、マチグヮーに人を集まっていく。ブックパーリーNAHAと名付けたのも、そういった意味合いがあります。

mizusawa水澤

点と点をつないだり、人が動く流れを考えたりするところが、まさに編集者らしい視点だなと思います。

shinjo新城

「あの人とこの人がくっついたら面白いことが起きるかも」結果として、街を編集していくことに快楽がありましたね。特別なひとときでした。今は、若い人たちにバトンを託しています。

私の人生を変えてくれたイベントに、これからも恩返ししていきたい!

mizusawa水澤

もともと、「沖映通り えきまえ一箱古本市」に参加しようと思ったきっかけはありますか。

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ganaha我那覇

2013年当時、非常勤の図書館司書として働いていました。でも、図書館司書ってなかなか正規雇用されにくい厳しい世界。これからの働きかたを考えたとき、やっぱり本に関わっていきたい。そう思ったときにこのイベントに出会いました。

mizusawa水澤

運命的な出会い! もともと、イベントに参加する側だったのですね。

ganaha我那覇

はい。そこで、ボーダーインクの新城さんと知り合いまして、打ち上げのときに「イベントに関わりたいです」とお酒の力を借りつつもお伝えしたのを覚えています。それから、新城さんとは親しくしていただき、出版に関するノウハウや沖縄県産本の世界を教えてもらい、現在は念願だった本に関わる仕事に就けました。もう、感謝の気持ちしかありません。

mizusawa水澤

それで、今も関わっているわけですね。我那覇さんは、どういったところに魅力を感じましたか。

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ganaha我那覇

本を求めるお客様と店主との距離がとにかく近いところです。基本的には、本屋さんって静かなところですよね。でも、一箱古本市は、どこかマチグァーのような雰囲気がありまして、年配の方がふらっと来て「不思議な本を持っているね」って気軽に声を掛けてもらえます。そんな関係性があったから、居心地が良かったんです。

mizusawa水澤

我那覇さんは出店してみて、思い出に残っている場面ってありますか。

ganaha我那覇

イベントの開演時間は11時からでしたが、出勤前のサラリーマンの方が開演前に来て、「この本をください」と言ってくださった。まだ、開演前だったのでやんわり断ったところ、11時ぴったりにまた来てくれて本を購入していただいた。しかも、その本がなんと「南極料理人」に登場する料理のレシピ本だったんです。

mizusawa水澤

また、意外な。

ganaha我那覇

不思議ですよね。でも、同じ本を共有する喜びを、そのときにはじめて知ることができました。

mizusawa水澤

好きな本をシェアできる、いいですね。その後、去年から実行委員になられてから、出店者からどのようなご意見をいただきましたか。

ganaha我那覇

「一箱古本市」では、それぞれの村といったグループを作っていただき、そこから村の代表になる村長さんを決めてもらいます。その村長さんにイベント開催中、ポストイットをお渡して、一言ずつ感想を書いてもらう。最終的には、その感想を1つに集めて、新聞の見出しみたいに発表しています。

img10(2015年の沖映通り えきまえ一箱古本市 新聞) 

mizusawa水澤

率直な感想が多いですね!

ganaha我那覇

村長の仕事は大変だけど、「お客さんとのコミュニケーションが楽しくて、ついつい長話しちゃった」そういった声がみなさんの目にふれることで、今までなかなか参加できなかった人にとって次の一歩につながりますよね。

mizusawa水澤

「一箱古本市」は全国開催されていますよね。沖映通りならではの魅力について教えてください。

ganaha我那覇

意外と知られていませんが、沖映通りはギネス認定を受けている「那覇大綱挽」の発祥地で、今はなき沖映本館という映画館やダイエー、地元の人たちの暮らしに密着してきた通りなんです。

mizusawa水澤

こんなにも歴史のある通りだなんて、知りませんでした。

img11(一緒の沖映通りを歩きながら、歴史を教えてもらいました) 

ganaha我那覇

通りの先にはお墓があり、那覇が生きてきた証のようなところ。

mizusawa水澤

歴史とも一体になれそうですね。新城さんから一箱古本市を引き継いだとのことですが、我那覇さんがリードしていくうえで工夫している点はありますか。

ganaha我那覇

おきえい通り会の皆さんとの関係性ですね。実質、このイベントをリードするようになり、組合の方とも直接やりとりをしていますが、去年はなかなか勝手を掴めずに終わってしまいました。それで、自分の役割は何かと考え、スポンジのような存在でいようと。一箱古本市とおきえい通り会、お互いの思いがバラバラにならないように、柔らかい存在でいようと心がけています。

mizusawa水澤

だから、我那覇さんとお話していて、僕もホッとする気持ちになったわけか笑

ganaha我那覇

ありがとうございます。去年は、暗中模索でしたが、今年は私なりの空気感を作り、何ができるのか見えてきたところです。実行委員会の仕事は、「やりとりが多くて、ちょっと難しそう」と思われがちですが、ライフワークとして無理なく楽しめていますね。

mizusawa水澤

ライスワークとライフワークの関係性は今、大事だと思います。「沖映通り えきまえ一箱古本市」を通して、我那覇さんはどんなことをお伝えしたいですか。

ganaha我那覇

読書は、自分と本という対の関係になりがちです。でも、一箱古本市を通して、本を内向きだけじゃなくて外向きにも発信することができます。私もそんな体験を積み重ねてきました。

img12(「沖映通り えきまえ一箱古本市」は、当日に通りを区域分けして本が並びます) 

ganaha我那覇

この通りで、地べたに体育座りをしながらお客さんとやりとりすること。はじめて参加したときは、すごくドキドキしながらやっていたことを覚えています。でも、お話しも、本も、どちらも好きな人がたくさん遊びにきてくれますから、いろんなご縁に出会ってほしいですね。

mizusawa水澤

最後に、我那覇さんにとって本はどんな存在ですか。

ganaha我那覇

何にでも変身できる、魔法の道具ですね。ときに万物の知識を得て、博識になれるし、女の子ならファッション雑誌をみて、おしゃれになることだってできる。一箱古本市には、通りに座る人の分だけ魔法の道具が揃っていると思います。私は、ここをきっかけに変身できましたから、みなさんにもその体験を味わってほしいですね。

ブックパーリーOKINAWAをきっかけに、本を持って街に出かけよう!

mizusawa水澤

「ブックパーリーOKINAWA」は、本と音楽のイベント「ブックンロール」、ゆいレールを貸し切って行われる演劇会「即興演劇と朗読の夜会」、さいおんスクエアの「さいおん古本まつり」など、さまざまな地域でイベントを取り組まれてきたと思います。それぞれを開催するまでの背景を教えてください。

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miyagi宮城

私は、11月5日にモノレールの中で行う「即興演劇と朗読の夜会」を企画しています。もともと、2013年にブックパーリーNAHAを開催したときに美栄橋駅の駅前広場で行った「沖映通りえきまえ一箱古本市」の中の「こども古本まちぐゎー」という、子どもが本屋さんの店長になれるという企画を担当していました。そのときに、頭上を見てみるとモノレール上から見ていたお客さんがそのまま駅で降りてきて、ふらっと古本市に参加する人が多かったんです。それを見て、モノレールを使ったイベントをしてみたいなと。

tokeshi渡慶次

そこから、どうやって演劇につながったのですか?

miyagi宮城

はじめ、本とモノレールのイベントを考えたとき、朗読会を考えました。例えば、京都の叡山(えいざん)電鉄内での朗読会を頭の中ではイメージしていましたが、動く舞台というイメージも浮かんできて、具体的にどうすればいいのかなと考えたとき、演劇をいざ行う!っていうのはとても長い準備期間が必要なんですよね。だったら、即興性のある、台本のない即興劇をやろうと。ぴーんと閃いた!

mizusawa水澤

やはり、劇と本は合わせやすかったのですか。

miyagi宮城

はい。まず前提として即興劇だから、その場に来ないと味わえない面白さがありますよね。しかも、劇の題目や進行内容はお客さんが持ってくる本で決まります。モノレール内に広がる光景は、きっと参加者にとって忘れられない思い出になるはずです。(*現在、チケットは売り切れました)

kina喜納

参加型のイベントは重要ですよね。10月29日にあった、ジュンク堂書店那覇店にお泊まりできる、「ジュンク堂に住んでみる」もそうでしたね。

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morimoto森本

はい。東京で行ったときは、5000人ぐらい応募がきました。

mizusawa水澤

沖縄ではどうでしたか?

morimoto森本

Web上では告知せずに、店舗のみで応募を受け付けたんです。それでも、約60名から応募があって、10組20名の方に泊まってもらいました。

mizusawa水澤

お店に行かないと、そもそも応募できない。確かに、純粋にジュンク堂ファンが集まりますね。

kina喜納

徹夜して、朝まで一睡せずに本を読む人もいるんですか?

morimoto森本

中にはおられました。あと、「ジュンク堂内に漂う本の匂いが好き」「この空間にいるだけで幸せ」そういった生のお声は私としてもうれしいです。

kina喜納

私は、森本さんのような書店員さんや本の作家さんが楽しめる、音楽と本のイベント「ブックンロール」を10月13日に行いました。

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mizusawa水澤

沖縄では初開催ですよね?

kina喜納

はい。そもそも、このメンバーの中では、唯一私だけが出版社に勤めています。県内を回っていると、昔から取引させていただいている書店さんが、街からどんどんなくなっている。だから、「何かしたいな」と思っていたときにブックンロールに出会ったんです。

2013年に、東京で開催されていた本家のブックンロールを見にいきまして、ライブはもちろん、それ以外にもそれぞれの場で書店員さんがお客さんに本を手に取ってもらうための創意工夫について話されていて勉強になりました。「いつか沖縄でもやりたい」と思って、イベントの翌日、そのまま御茶ノ水に行って、弾いたことのないギターを買ってきて、肩に背負いながら沖縄に帰ってきました笑

mizusawa水澤

まずは、形から入る!

kina喜納

のちに主催者である空犬太郎さんに「沖縄でもやりたいです」とお願いして快くオッケーをいただき、無事に開催することができました。その後、空犬さんも沖縄にお招きして、出演していただいたんですよ。

mizusawa水澤

沖縄のブックンロールでは、ライブとともに書店の店主が自分のお店について語る「トークの部」が盛り上がっていましたね。

 

kina喜納

本当に、面白かったですよね。実は、書店・出版関係者に音楽好きはけっこう多いので、「ライブの部」はすぐにメンバーが集まりました。一方で、「トークの部」のキャスティングには苦労しました。本屋さんとはいつも顔を合わせているので、日々の忙しさは知っていたつもりでしたが、ここで膝突き合わせてお話しして、ようやく見えてきた事情もありました。苦労話だけじゃなくて、日々の楽しいエピソードもたくさん教えてもらいましたよ。

mizusawa水澤

だからこそ、書店員さんとお客さんの接点を音楽で作ろうと思ったわけですね。

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kina喜納

はい。たとえ他人行儀な関係性であっても、「あっ、ブックンロールでドラムを叩いていた人だ」というきっかけで、お互いの顔を知りあえる間柄になると思うんですよね。

ブックンロールが終わって、もうやりきりました。今年も、もう終わった感じです笑

mizusawa水澤

11月初めですよ笑 顔が見えるって、すごく大事です。渡慶次さんも、10月29日と30日に開催された「さいおん古本まつり」に出店なさっていましたよね。とくに、お客さんと顔を見える距離でやりとりしていたのが印象的でした。そもそも参加するきっかけは何だったですか。

img17(さいおん古本まつりで、お客さんにお声をかける渡慶次さん。) 

tokeshi渡慶次

私は、昨年くじらブックスという名前で本屋として独立しました。今年9月から仮店舗を始めましたが、1日中1人でお店にいると、今どんな努力をすればいいのか、自分に何が足りないのかわからなくなってくることがあるんです。こういった機会に沖縄の古書籍商組合の先輩や長くお店をしている人と交流すると、日々の悩みを解決するキッカケになりますね。

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tokeshi渡慶次

あと、沖縄の地域性もあるかもしれませんが、古書店も新刊書店も垣根をあまり感じない、ゆるい繋がりを持っています。私はジュンク堂で勤めていましたが、絶版になった本についてお客さんからお問い合わせがあったとき、さまざまな古書店に電話して、「置いていませんか?」と聞いたことがあります。ブックパーリーのような場を通してお互いに顔を合わせながら協力していければと思います。

kina喜納

「さいおん古本まつり」が初めて開催されたのも2013年のブックパーリーNAHAだよね。

mizusawa水澤

すごく気になっていたことがありまして……。「ブックパーリーNAHA」から「ブックパーリーOKINAWA」に変わったのはなぜですか。

morimoto森本

一番は、多く人に情報を届けられると思ったからですね。

tokeshi渡慶次

うんうん。ブックパーリーNAHAにすると外に広がりにくい側面があります。私の知人から「沖縄市に住んでいると、参加している本屋さんがない」という声があったのも事実です。

今回、沖縄全域にしたことで読谷村・嘉手納町・うるま市にある大城書店や金武町にある金武文化堂が参加してくれました。しかも、ブックパーリーOKINAWAのブックカバーを用意したところ、TSUTAYAなどチェーン店も含め全県で配布していただけたので、いろんな場所で楽しんでいただけたと思います。

img01 (2)(こちらがブックパーリーOKINAWAのブックカバー) 

morimoto森本

来年は、もっと街の本屋さんが参加していただいたらうれしいな。

kina喜納

私は、県内の書店さんのことを一層知ることができました。先ほどの大城書店さんは、年配の方がオープン前から待っているほど、街のコミュニティースペースとしての役割を担っています。

また、金武町にある金武文化堂さんは、小学生の「たまり場」になっていて。学校の通学路に位置するから、帰り道にみんなで書店に集まって駄菓子を食べながら、ランドセルを枕にしてコロコロを読んでたりして笑。その子たちの親御さんも金武文化堂で育ってきてるから、子どもたちが金武文化堂にいれば安心できるわけです。

morimoto森本

私が小さい頃は、地域の本屋さんで立ち読みしたり、ガチャガチャして遊べる場所だったんですけどね。そういった本屋さんが本当に少なっていますよね。

miyagi宮城

私のお店には子どもも老人も、さらに猫、鳩だって来ます笑 でも、金武文化堂さんはブックパーリーOKINAWAをきっかけに知りました。

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morimoto森本

本屋には、それぞれ地域での役割があります。私たちのジュンク堂は来ていただいたら、どんな本でも見つかるような地域の本屋さんにないものも取り扱っています。一方で、街の本屋さんは、洋服屋のセレクトショップみたいに、店主の個性が本棚から滲み出てきて、それを魅力に思えた人がファンになっています。みんな、役割を持っているからね。本来、ぶつからずに協力し合える。

mizusawa水澤

「ブックパーリーOKINAWA」を通して街の本屋さんが1つになる。そんなきっかけを作っているんですね。最後に、ブックパーリーを通してどんなことをお伝えしたいですか。

morimoto森本

私は、今回のイベントのキャッチコピーである「本が人生を変える」、これに尽きます。ブックパーリーに参加してくれた人が、本に出会って、人生もガラッと変わってくれたらこれ以上のことはありません。私は、ジュンク堂に約20年以上勤めてきて、幾度もお客さんに「ジュンク堂のおかげで人生を変えた本に出会えた」と言っていただいた。今でも忘れられないし、ブックパーリーがそのきっかけになったらいい。

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tokeshi渡慶次

とりあえず、ブックパーリーのイベントのように何でもやってみることが大事だと思います。自分のフットワークを軽くしてね、いろんなことにチャレンジしてみてほしい。ときには、失敗することだってあります。そのときは、また1からやり直せばいい。

miyagi宮城

私は、まず本がある場所に行ってもらいたいです。それをきっかけに、いろんなシーンが生まれるし、ブックパーリーも1人ではできないイベントだから、この機会を逃して欲しくないな。そういった場に一歩でも踏み出せば、きっと人生が変わってきます。

mizusawa水澤

本が好きな人と本を読まない人、その一歩がすごく意味合いが違いますよね。宮城さんの一歩先には、どのようなイメージをお持ちですか。

miyagi宮城

自分の目線が変わってくるから、見えていなかった景色が見えてくる。今までとは違う場所に行けるイメージです。

mizusawa水澤

見えない扉を開いていく感じですか。

miyagi宮城

それそれ!来年のブックパーリーのテーマが見えてきた笑

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mizusawa水澤

ありがとうございます笑

kina喜納

私たち、ボーダーインクは県産本の作り手なんですけど、少しでも多くの人に関心を持ってほしい。県産本って今まで、生活の困りごとから仏壇の備え方、ときに島野菜のレシピ本といったように、地元の人に地産地消として活用されてきました。だから、イベントを通して、改めて沖縄のカルチャーを知る機会にしていただければと思います。

morimoto森本

結果として、沖縄県内の本好きの人口が増えてほしい。

「本が人生を変える」もこっそりと教えていただきました!

沖縄と本、そしてカルチャーから歴史まで、今でも続いてきた文化を知ることは本当にワクワクしてきますね。「ブックパーリーOKINAWA」ができるまでには、さまざまな葛藤や出会い、人とのご縁がバトンのように、人から人に渡されてきた経緯があります。この本の世界に飛び込んだら、あなたに渡したい!そう願いが込められたバトンが待っているはずです。

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mizusawa水澤

ブックパーリーOKINAWAの実行委員会の皆さんに、「人生を変えた本」を教えていただきました。

一同:それ、ありすぎて迷う!

 

morimoto森本

本当は言いたくないな笑 私は、アラーキーこと荒木経惟さんの「荒木センチメンタル沖縄」です。沖縄に来る前は、リゾートの沖縄をイメージしていました。ただ、この本を見たら、沖縄のリゾートとは真反対の路地裏ばかりが写っている笑 沖縄に住むようになって、やっとこういったところも沖縄の良さだと理解できるようになりました。この本を皆さんにオススメしたいのですが、残念ながらすでに絶版なんです。

tokeshi渡慶次

私は、星野道夫さんの「アラスカ 光と風」。高校生のときに出会った本です。沖縄の若者はなんとなく北国に憧れるところがあって手に取りましたが、原住民の人々の暮らし、文化、自然との関わりを知り、さらに沖縄以外の世界にも興味を持つことにつながりました。

kina喜納

私は、月刊沖縄社の「カラー 沖縄の怪談」という本が好きです。1970年代の沖縄に出てくるオールド妖怪からトレンド妖怪まで網羅していて、子どものとき見たらめっちゃ怖かった。その後、出版に働くようになってから、この本を担当した編集者にお会いできたこともあり、この本が一番忘れられないですね。

 

miyagi宮城

ベタではありますが、私はミヒャエル・エンデの「モモ」です。幼稚園のときに映画から入って、高校生のときに読んでみた印象と、大人になって再度読み返した印象がだいぶ違っていました。その時その時で本との距離感が違っているし、自分は本で成長してきた感じがありましたね。

mizusawa水澤

ありがとうございます。

・・・

・・・・・・

一同:水澤さんの「人生を変えた本」を教えてください。

 

mizusawa水澤

えっ、そうきますか笑 佐野洋子さんの「100万回生きたねこ」です!

それでは、みなさん。読書の秋を楽しみましょう!!

開催情報

    1. ブックパーリー OKINAWA 2016

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会期:2016年9月15日(木)〜11月6日(日)

H P  : http://bookpartynaha.blogspot.jp/

開催内容に関しては下記スケジュールをご覧ください。

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