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【#残したい沖縄 エッセイVol.5】残していく沖縄の魅力と、可能性を広げる沖縄の未来

ゆゆめる

2019.06.26

今年も東京で過ごす春がきた。20歳の春。

小さい頃から憧れていた東京の生活は、想像していたものよりも何倍も楽しくて、心から上京して良かったと思った。

 

「上京する」

小学生の時には、すでにその決意をしていた私だったが、上京までに道のりはとても長かった。

受験という大きな壁や周囲の理解、遠く離れた場所で暮らすことは、そう簡単なことではなかった。

 

だけど、それを乗り越えた先には本当に広い世界に、解放された気分だった。

食べ物も美味しいし、綺麗な景色や可愛いお店、たくさんの会社があり情報のスピード早く気になる人に「すぐに会いに行ける」というのはとても大きな魅力だと思った。

 

上京したての頃、電車の乗り方なんてもちろんわからない、新宿駅でも1時間迷うこともあった。
待ち合わせ場所に行くのですら、場所が見つけられずに途方にくれることもよくあった。

沖縄のことなんか忘れてしまうぐらい毎日が必死だった。

 

そんな日々を過ごしているうちに、だんだんと東京の生活にも慣れ、居心地良くなり、沖縄に帰ることが年に1,2回程度になっていった。

 

私にとって沖縄は「大好きな場所」から「別の世界」という認識に変わっていった。
よく沖縄に帰ってくる人たちは「東京は人も多いし、疲れる」と言っていたが、私にはそんなことはなかった。

 

東京には様々な業界で活躍している人と出会える機会も多い。
ビジネスや政治が動いているのを間近で感じることができることは、これまでにないほどワクワクした。

起業家、アイドル、大学の教授、TV番組をつくっている人たち、政治家など、いろんな職種の人にも出会え、話を聞ける環境は私にとって素晴らしいものだった。

沖縄よりも何倍もいい場所だと、正直思ったぐらい。
しかし同時に、圧倒的に何が違うかをはっきり分かったこともある。
沖縄にしかない良さも知った。

 

客観的に沖縄のことを考えるようになったことで、魅力的な景色や音楽、島での安心感を思い出すようになった。私の地元への愛は強くなった。

私の地元は「石垣島」だ。
沖縄本島からさらに飛行機で1時間ほど離れた場所で人口5万人の島だ。

 

そんな島には素晴らしいものが集結していると気づいた。
中でも私にとって大事にしている思い出がある。

石垣島には「バンナ公園」と呼ばれる自然の中につくられた大きな公園がある。
私は小さい頃家族でお弁当を持って行って、朝から日が暮れるまで遊ぶのが好きだった。
両親のつくってくれたご飯にお菓子やサンドイッチを食べ、ピクニックをよくしていた。

小鳥や虫の鳴き声が聞こえ、自然の中で、全力で遊んだ後に食べるご飯は最高に美味しかったし、すごく楽しかった。

私たち家族は朝誰も来ていない時間帯に公園に着き、夜真っ暗になってみんなが帰ったあとも遊んだ。
そのあとは家族みんなで流れ星を寝そべって見たり、展望台に行ったりした。

空一面に広がる星空を見て、あまりに美しすぎて感動し、気づいたら泣いていたこともあった。

 

海にもよく遊びに行った。
友達とドローンを飛ばして空からの景色を撮影した時はびっくりするほど綺麗でここが地元だなんて思えないほど素敵な場所だと思った。

 

高校生の時、県外から来た人に対し、個人的に観光ガイドのように案内したり、ツアーを企画したりするほど、沖縄が大好きで周りにも魅力を伝えたいと思っていた。
観光ブックを買い漁り、沖縄の最新情報をつねにチェックするも大好きだった。

「沖縄」というキーワード無くしては語れないほどの地元愛が強い高校生だった。

 

そんな私だったが今年の成人式では大好きな地元に帰ることはできなかった

理由はたくさんあった。
そのひとつに地元の人たちに「私」という存在を受け入れてもらえないのではないかと思った出来事が積み重なり、心の中でブレーキがかかっていたからだ。

小学校高学年と中学生の時にいじめを受け、謝られることも一度もないまま高校生活を怯えながら過ごしたことでの不安感もあった。

前より強くなったはずなのに、また否定されるのが怖かったし、自分に自信がなかった。

私には「地元の友達」と呼べるほどの友達があまりいない。

 

沖縄から上京してきたメンバーで、飲み会には呼ばれたことも一度もないし、グループがあることも存在すら知らなかった。あとから聞いた時、少し驚き、ちょっとだけ胸が痛んだ。

 

東京に来てから学んだことを発信するにつれて沖縄の友達、大好きな地元との距離を感じると悲しいと思うことが何度かあった。

地元のことを考えると、苦しくなる。

新しい発見や考えをSNSで発信すると、どうして地元の人との距離ができてしまうのだろう。

石垣島で感じていた違和感はどんどん大きくなり、発信すればするほど嫌われてしまったりするのは、もう仕方ないことだと諦めた。

 

そんな時に気が付いた。
沖縄のことが大好きだったのは、沖縄の人との繋がりによる穏やかな安心感を感じることができたからだと。

 

沖縄の自然や音楽、伝統文化なども素晴らしく残したいものがたくさんある。
ただその反面、新しいものに対する抵抗も大きいことに気づいた。

 

包み込むような美しい場所だからこそ「可能性を広げる」ということに対しても、受け入れてくれる環境になったらいいなと私は思う。

 

自然や生物、星空など昔から残し守られてきたように、これからの沖縄の未来という可能性を広げていける場所にしたい。

残していくべきものと、新しいものを上手く融合させ、教育の場所としても素晴らしいものを生み出していけるのではないかと思っている。

 

沖縄の魅力課題に同時に気づけたからこそ、今ではそれを強く願っている。

きっとそれが、家族との幸せな時間をつくってくれた島の素晴らしい場所を残すこと、そしてそこに住む子どもたちの可能性を広げる機会が増えることで、これまでにないぐらい素敵な沖縄の未来につながっていくのだと。

 

上京して数年、沖縄への愛と大好きな地元で育ち出会った数々の感動の瞬間に思いを巡らせ、東京で学ぶことで自分に何ができ、私はどんなことをしたいのかを今考えているところだ。

近い将来、自分が「沖縄のあふれる魅力を残し、みんなにとってあたたかな沖縄にしていける人」になりたい。

自信を持って沖縄に戻れるように。

 

2019年6月26日にRBCにて特別番組「おきなわMOSAIC」が生放送決定

おきなわマグネットが2019年4月から追いかけてきた「#残したい沖縄」プロジェクトではTwitter、Instagram両方で合わせて、5000以上のハッシュタグ「#残したい沖縄」を皆さんにご投稿いただきました。

それぞれ皆さんが残したいと思う沖縄の魅力をSNSで投稿していただいた内容を、2019年6月26日に放送される琉球放送(RBC)さんの特別番組「おきなわMOSAIC」にてご紹介いたします。

現代に生きる人々が、時代の変わり目にあって、何を大切にし、どのような沖縄を未来に残したいと願っているのか…

一人一人の思いをモザイクのように拾い集めて、新しい時代の「沖縄白書」を作るプロジェクト番組。新元号が発表される4月1日から投稿を募集し、6月26日のテレビ生放送に至るまで、琉球放送(RBC)では、テレビ・ラジオ・WEBで県内外、世界のウチナーンチュたちの「残したい沖縄」を紹介します!

ぜひお見逃しなく。

番組についてはこちらから