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実録、ヤギ肉が作られるまで。農家密着ドキュメンタリー!

ナガハマ ヒロキ

2017.01.27

沖縄県民は大きく2種類に分けられる。

 

ヤギ肉が好きである者。

そうでない者だ。

 

 

いや、実際にはその独特のクセから、半分以上の人がヤギ肉と仲良くなれていないと思いますが、ハマる人は毎日でも食べたい、君がいないと僕は生きていけないくらいの確固たる絆があります。

ヤギ汁とヤギ刺しで頂くのが定番。個人的には羊肉のマトンに近い味わいもあるし、ジンギスカンみたいに焼いても美味しいのでは、と思っている。

「ヤギ汁」やぎ家(浦添市屋富祖)

「ヤギ刺し」黄色い船(浦添市当山)

 

沖縄では昔からヤギを食べる文化があるのです

昔から沖縄では、質素なエサで育つヤギを貴重なたんぱく源として食す文化があり、今でも田舎の方に行くと庭先で飼っている家があるほどです。

また、那覇あたりの都市部では少なくなっていますが、建物を新築した際の上棟式では、ヤギ汁を振る舞うという風習もあります。そして、新築の建物が臭くなります。えへへ。

「ヤギグスイ(山羊薬)」と言われるほど栄養価も豊富で、沖縄のディープダンディー達は飲んだ帰りに「だー、クンチ(スタミナ)付けて帰ろう!」を合言葉にヤギ汁を飲んで帰路に着きます。

 

そして翌朝は毛穴から発せられる獣臭で起きるんです。末期の人になると「ん〜これで二度美味しい」とか言い出すので、そっとヨモギを塗り付けて臭みを取ってあげましょう。

 

熱狂的なファンを持つヤギ肉ですが、産業化に至るまでの生産頭数はなく、スーパーでの流通はほとんどされていないので、精肉店での予約注文もしくはヤギ料理屋で頂くのが一般的です。

その滋養強壮が付く印象から、「ヤギ肉は食べすぎると高血圧になる」と言い伝えられていましたが、琉球大学農学部の砂川教授らの研究により「高血圧の原因はヤギ汁に入っている塩分です」との発表がされました。
(参照:ヤギ肉「血圧上げない」で単価上昇 頭数も増 / 沖縄タイムス 2015.6.26)

 

気付くの遅いでしょ!そりゃあそうだろってくらい塩の味するし!

 

科学的に証明されたことで抑える必要がなくなった県内のヤギファン達は狂喜乱舞!需要が上がったことで、以前は1000円ほどだったヤギ汁の価格が1500円前後にまで上昇し、立派な高級食材です。

しかし、このヤギさんたち…実際に生産されている様子を見たことがある人は少ないはず。

というわけで、今回は本部町にあります「農業生産法人(株)もとぷらす」さんの牧場におジャマしました!

 

本部町のブランドヤギ、「本部ぴーじゃー」とは

今回密着させてもらったのが、牧場長の岸本清祥さん。
もとぷらすでは約90頭のヤギを飼育しています。法人化してヤギの生産に乗り出しているのは県内でも数える程度です。岸本さんは、人工授精師の資格も取得しており、生産から加工、流通までを自社で行っています。

 

 

県内で広く生産されているのが、日本ザーネンという品種。いわゆる白ヤギさんです。本来は乳用の品種なのですが、沖縄では肉でも用いられます。独特の味わいが強いのがこのザーネン種。
そして、後発で飼育されてきたのが、南アフリカ原産の肉用種であるボア種。丸みがあり、肉付きが良いのが特徴です。

 

 

牧場がある本部町では自治体をあげて「本部ぴーじゃー」のブランド名で、ヤギの生産に力を入れているのですが、ザーネン50:50ボアのF1品種、またはザーネン75:25ボアのF2品種であることが、この「本部ぴーじゃー」を名乗れる条件なのです。

 

ナガハマナガハマ

何で肉用種のボア100%の生産はしないんですか?

岸本さん岸本さん

ボアだけよりも、体高のあるザーネンと掛け合わせることで歩留まり(使える肉の割合)も良くなるし、沖縄のヤギ好きな人が好む風味になるからです

ナガハマナガハマ

優秀な種ヤギの条件は何ですか?

岸本さん岸本さん

雄大な骨格と、金玉の大きさね!

 

出産はそのまま、普段生活している小屋の中で。

「初産のメスの時には手助けするけど、後は自然分娩に任せています。朝来たら生まれ落ちているっていうのは日常茶飯事ですよ」

 

出荷までは12か月前後!何を食べてすくすく育つのだろう

生後1ヵ月もすると離乳し、飼料を食べるようになります。エサやりは朝晩の1日2回。なんと、ヤギ用の専用飼料がありました!これに、農家によって様々とのことですが、トウモロコシに麦、オリオンビール工場から入手しているビール粕など(全部は企業秘密!)を配合。しっとりとした手触りです。

 

 

青草と合わせてヤギに与えます。
「青草は夏は余るほどあるのですが、冬場の調達が大変で。乾燥させた青草を与えていますがこれが高価なんですよ…」

 

 

生後3か月で段階的な肥育をするために、一度元の小屋から次の小屋へとお引越し。高床式なので、ヤギ泥棒の脅威からも安心!(実際にヤギを盗まれたという知り合いがいました)

 

 

生産農家によって様々なのですが、もとぷらすさんは生育から12か月、60kg前後になった頃に出荷します。

これだけヤギ文化が根付いているにも関わらず、意外や意外、全体の約70%はオーストラリアやニュージーランドの輸入に頼っているのだとか。産業化するためには、もっと生産農家を増やすことが課題ですが、例えば出荷時期で見ると、豚は生後約6か月、鶏は生後2〜3ヵ月と、他の家畜に比べてヤギは生育期間が長いのです。すんごい手間ひまが掛けられているんですね。

 

 

生産農家同士の横つながりは非常に協力的とのこと。沖縄全県では「ヤギ発展友の会」が、本部町では「もとぶぴーじゃー生産組合」があり、エサ作りから品種改良まで様々な情報を共有して、良質なヤギの生産に取り組んでいます。

 

 

この先はドキュメンタリーです!

みなさん、ここからはすごく貴重な画像が見られますよ。

 

沖縄県民でもなかなかお目に掛かれないその光景に、僕と同行カメラマンは自然と目が合い、コクリと頷きました。お楽しみに。

1年を通して育まれ出荷されていくヤギさん。
取材当日、タイミングよく前日に名護の食肉センターにて命を頂戴したヤギ肉があるとのこと。もとぷらすさんでは自前で加工工場を設けて、商品のカットとパッキングまで行っています。

行きます。これが、と畜されて戻されて来たヤギ肉であります。

 

 

これは相当なインパクトあるでしょう!切り込んだでしょう!

ありがとうヤギさん!

県産のヤギはと畜される際に、表面を炙って毛焼きをします。その香ばしさが輸入のものとは違う特徴だそうです。「ヤギ刺しに使われるのはこの部分」と説明してくれています。

 

 

ヤギ汁は肉以外の部位も頂きます。パックされているのは、赤モツ・白モツ・網脂・凝固した血。

 

本部ぴーじゃーはここで手に入れよう!

もとぷらすさんで生産された「本部ぴーじゃー」(7500円/3kg)は、本部町にある、田空の駅ハーソー公園内の直売所で購入できますよ!

 

 

ヤギ刺し用の肉と、ヤギミルククッキーも置いています。

 

 

田空の駅ハーソー公園内の直売所

【住所】沖縄県国頭郡本部町具志堅1334
【電話】0980-48-3835
【営業】10:00〜17:00
直売所内の田空食堂(11:00〜15:00・火曜定休)では、地産地消の鮮度抜群のヤギ汁を召し上がることができます!

 

皆様のヤギライフが充実したものになりますように

沖縄の食文化であるヤギ料理。生育過程まで見ると、よりグッと来ますよね。
この記事がヤギを慈しむことに繋がり、今後のあなたのヤギライフを充実したものにできればという期待を込めて、これからもありがたくヤギ料理を頂きましょう!