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初めまして、2019年から沖縄に移住した写真家の蓮池ヒロ(@hiro_hasuike)です。青く綺麗な海、暖かい気候、さらには花粉がない沖縄での暮らしは、私にとって理想でした。
それでも新しい土地に暮らしてみると、はじめに思い描いていたものとは違い、窮屈さを感じるときもありますよね。ときには嫌な場面にも遭遇したり。苦しさやストレスを感じたときに、私は意識的にチルアウトをするようにしています。
チルしていますか、みなさん?
チルアウトとは、非日常的な高揚感とリラックスが共存する状態のこと。日常のシーンで自分なりのチルアウト方法を見つければ、ストレスのガス抜きとなって「生きやすさ」が格段に上がると実感しています。
では沖縄というと、チルアウトできる環境が整っています。例えば海、そして県民も大好きなビーチパーティ。オリオンビール片手に海の前で語り合う文化は、最高に“チル”な空間ですよね。
沖縄で体感できるチルアウトはそれだけではありません。実はいま、山の自然がアツい!
2017年からは毎年、山と自然に特化したイベントとして、アウトドアキャンプフェス「GO OUT CAMP RYUKYU」が行われています。2019年は、11月16日と17日に恩納村「沖縄県 県民の森」で開催されました。
でも、「山? 自然? 本当にキャンプでリラックスできるの?」と思われている方もいるでしょう。そこで今回は、GO OUT CAMP RYUKYUの様子をご紹介しつつ、最高にチルアウトする瞬間を、新たに気分転換する方法を、日常で試したくなることまでぎゅっとお伝えします。
GO OUT CAMPのスタイルを受け継ぐ「GO OUT CAMP RYUKYU」
はじめに、「GO OUT CAMP」のご紹介から。ファッション・アウトドア・ライフスタイル雑誌「GO OUT」が主催するアウトドアキャンプフェスGO OUT CAMP。2008年に第1回目が行われて、徐々に日本中へと開催場所が広がっていきます。
GO OUT CAMPは、「ヒト・モノ・文化と自然との出会い」をテーマにしたアウトドアキャンプフェス。
もともと、沖縄に来る前からフェスが好きで、最近キャンプにハマっている私にとって一度は訪れたいフェスでした。
沖縄版である「GO OUT CAMP RYUKYU」ではGO OUTのスタイルを受け継ぎながら、県内出身アーティストが出演して、エイサーの演舞、食の名店が集まる「OKINAWA FOOD FLEA」の出店など、琉球テイストが存分に加えられたイベントに。まさに、私の好きな自然の文化をそのままにミクスチャーされていて、高揚感が上がりっぱなしです。
まずは道に迷わないように会場の全体像を押さえておきましょう。チルアウトできる空間が盛りだくさんです。
GO OUT CAMP RYUKYUのメイン会場となる「SKY」には、激しくゆったりもできるライブの「RYUKYU STAGE」、息抜きの運動ができるアクティビティエリアの「ハシャGO!! AREA」、アウトドアショップが出店する「OUTDOOR SHOP NEOS AREA」、アウトドアグッズを販売する「Brand Avenue」、沖縄でいま注目の「OKINAWA FOOD FLEA」の5つのエリアに分かれていて、自由に行き来できます。(マップ)
県民の森にある自然、日常から離れてゆったりと過ごせるエリア設計になっています。のびのび遊ぶ子供たちを眺めているだけでもリラックスできます。
キャンプは秋がおすすめ いつもの生活スタイルを変えてチルアウトしよう!
私が思う隠れチルアウトスポット、それが会場の県民の森です。恩納村にある森林とふれあうことを目的にした施設で芝生が多く、わーと寝転がって空を眺めたり、夜な夜な芝生に座りながら語り合えます。
当日は絶好の気候も相まって、さらにチルな空間へ。
11月中旬から12月までの気候は、朝晩は冷えても昼間は20度を超える日が多い。だから、日中は涼しく過ごせる「キャンプ日和」です。
GO OUT CAMP RYUKYUでは、夜中は最低気温19度となりましたが、昼間の最高気温はなんと27度! 日中に半袖でキャンプできる沖縄は秋キャンプに適した場所なんです。
(想像してみてください)
薄手の防寒具で荷物も心も軽くして、いつもより早く起きて山を、自然の中を散歩する…贅沢なチルアウトができるところが県民の森なんです。
チルもアガるも自由自在 GO OUT CAMP RYUKYUの流儀はマイペースを乱さないこと
多様なイベントやブースがあるGO OUT CAMP RYUKYUに行ってみての良さは、「選択肢の多さ」と「自由に行動を選べる」ことでした。
ライブの楽しみ方だって人それぞれで、DJがアガる曲にあわせて踊り明かす人たちの隣では、椅子に座って微かに体を揺らす人もいます。チルも、アガるもマイペースで良い。人目を気にせず自分のペースを保てるのが醍醐味なんです。
それでは、ライブやアクティビィティの様子を振り返っていきます!
GO OUT CAMP RYUKYUを “アガる”空間へ変えるライブ
朝方から深夜帯まで、昼夜問わずに盛り上がるRYUKYU STAGEでのライブ。ミュージシャンやDJ、バンドのアーティストが集まります。
フェスといっても比較的ゆったり気分で鑑賞できた時間は昼間だけ。肌寒くなってきた夜でも、音楽に合わせて踊る熱気で半袖短パンの夏スタイルの方もいるほどです。
参加アーティストは河合桂馬、むぎ(猫)、GENDER-K、アマゾン松田、CARIB SOUL(Yu-chang3, yuma, TOSHIKI, mi-tsu-)、RITTO、DJ HASEBE、DJ Auto、dj sleeper(りんご音楽祭)、SHO-TA(MONDAY LOVERS)、bird。県内外で活躍中、また過去にGO OUT CAMPに参戦したアーティストが出演しました。
アーティストライブの合間には、歌唱力に自信がある方たちが集まる「野外カラオケ」や、沖縄伝統のエイサーの恩納村版「恩納村青年団エイサー」のパフォーマンスで会場を盛り上げます。
エイサーの音が鳴ればみな友達。指笛を吹きながら一緒にカチャーシーを踊る方につられて、私も挑戦……が上手くできなくて笑 。ただ、会場が一体になっていく様子を観ているだけでも、沖縄らしくて気分も楽しくなってきます。
人は皆、焚き火に集まる。出張焚き火団体「焚き火革命団」
焚き火は、なぜ男の心をくすぐるのですかね。キャンプをしたら焚き火をしたい。ただ、焚き火革命団が行う”出張焚き火”以外は会場では全面禁止でした。
焚き火革命団は、大きな焚き火台を持って沖縄各地へ“出張焚き火”を行なっているプロ集団で、私が行ったときには超満席でした。
火を見たら集まってしまうのが人のさが。
ビール片手に語り合い、ときには考えごとをしながら視線は不思議と焚き火へ。だから、視線を合わせる恥ずかしさがなくなって、普段は面と向かって言えないことも口に出せます。
焚き火エリアは昼間、インド式ミルクティー「チャイ」を提供する場所に。焚き火でじっくりとコトコトと煮込んで仕上げてくれました。
焚き火のそばで飲む温かなチャイはなぜこんなにも美味しいのか。一日中、焚き火から離れられなくなるほど、リラックスする時間を過ごせました。
アウトドア談義に花を咲かせる「OKINAWA FOOD FLEA」
OKINAWA FOOD FLEAは、県内各地で開催される新しいスタイルを提供する食のフェスティバルです。今回は様々な店舗が出店して料理とドリンクを提供しています。
出店するスタッフたちもアウトドア好きが多く、店舗の前で椅子に座りながらお客さんとキャンプ談義に花を咲かせています。
さらにRYUKYU STAGEの目の前ということで、ライブを見逃さずに買い物ができるところも魅力です。
では、ご飯をいただきます!
こちらは、北谷町にある人気バーガーショップ「GORDIES」のチキンバスケットと特製豚汁。カリカリのチキンと温かい豚汁の組み合わせは予想以上にマッチしています。
その他にも、キャンプに合うガッツリ飯やお酒などの豊富なラインナップが揃っていました。
山から見る海は格別にチルアウトな空間「トレッキングツアー」
GO OUT CAMP RYUKYUと同時に、アウトドアショップ「NEOS」スタッフが案内する熱田岳トレッキングツアーも開催。県民の森と熱田岳はつながっていて、道中の自然と山頂からの景色に惚れぼれすると聞き、私も参加しました。
熱田岳トレッキングツアーは標高160メートルまでで、SKYエリア付近から登山道を登っていき約1時間で戻ってくるコースです。トレッキング初心者には難易度が優しく、植物や昆虫、熱田岳の説明を時折挟みながら和やかに歩きます。
ガイドさんが途中で「この植物はルートビアの香りがします!」と言って、参加者同士で確かめる場面も。言われればそんな気がするような、あくまで予想だそう。子供たちがガイドさんの言葉を信じて、色んな植物を嗅ぎ始めて、ルートビアの香り探しに。
コース自体は木陰が続くルートで、少し風が吹くと心地良い空間でした。
最初は他の参加者の方のトレッキング装備っぷりに、運動不足な私は私服のままで恐れをなしましたが、息切れすることなく登っていけました。
中継地点に到着。
見てください! 県内屈指のリゾート地の恩納村、山頂から望める海の透明感は格別です。良い汗をかいて、頂上に着くと海と山を同時に楽しめる状態。最高にチルです。
早朝から「ラジオ体操」と「朝YOGA」でチル体験
現在の時刻は早朝8時。朝から体を動かすとチルアウトな状態で1日をスタートできます。
GO OUT CAMP RYUKYUは早朝からアクティビティがあって、「ハシャGO!! AREA」ではラジオ体操と朝YOGAのメニューに参加できます。気温は19度前後と少し肌寒い、でも体を動かすとポカポカしてきて「今日もハシャゴウ!」とポジティブな気分に。
他にも、約5cmのラインの上をバランスを取りながら歩く「スラックライン」や、体幹を鍛える「ファンクショナルトレーニング」、エネルギッシュな音楽共に踊る「ズンバ」などのアクティビティが体験可能です。
私もスラックラインを挑戦しましたが、全くできません笑。 スラックラインはバランス感覚が必要で、子供から「前を向いて姿勢を良くすればできるんだよー」とアドバイスをもらって苦笑い……。
子供を見習って、普段から姿勢を良くしようと身が引き締まる想いです。
あと周辺には、ハンモックエリアがあって販売をしています。大人よりもよっぽどチルアウトを知ってんな…! という顔で、ハンモックを子供たちがエリアを独占していました。
キャンプでもチルアウト体験 非日常感の中にあるくつろぎ
続いて、キャンプエリアへ。キャンプは自然の中にいる非日常感、くつろげる自分たちだけのスペースがあるため、チルアウトしやすいアウトドアです。
私や参加者が実際にキャンプ中にしていたチルアウト方法をご紹介します。
シンプルにバーベキューをしながら語る
キャンプでのバーベキューの良さは、会話を楽しみながら好きな食材を自分たちのペースで食べられること。炭火を起こすシーンから楽しい!
連携プレーが必須なバーベキューを始めれば自ずと会話も弾みます。キャンプに来ている高揚感だからこそ、ついつい話してしまうこともありますよね。
私のおすすめは、玉ねぎやキャベツといった野菜たち。玉ねぎに醤油を垂らして炭火で焼く、「玉ねぎって焼くだけで美味しいんだ」とシンプルなことに気付きます。
ささいな気付きが増えることもチルアウトの良さ。日常の幸福度が上がります。
焚き火のそばでビールをいただく
少し肌寒くなってきた時間帯に、焚き火台の前の椅子に座ってビールを飲む。キンキンに冷やしたビールであっても焚き火からの熱で体温が冷めずに一気に飲み干せます。
秋や冬でも野外で冷たいビールを味わう、チルアウトな瞬間です。
ただ、焚き火の火が消えた後の余韻ははかない。ほのかに残る服に付いた炭火の香りがキャンプの思い出を色濃くします。ただ、帰りの車内が煙くなることは覚悟しておきましょう。
木陰で読書をする
自然の中で読書をする贅沢。キャンプでバーベキューや焚き火をしながらたくさん語ったあとは、自分だけの時間も忘れずに確保しましょう。
日常のシーンではなく、自然の中で読書をしてみると驚くほど集中できます。自然の音を聴きながら本の世界に浸れる時間は贅沢なチルアウトです。
星空撮影へ 秋が星をさらに輝かせる
山の中は絶好の星空撮影スポット。実は、この写真でも満天の星空ではありません。イベントの明るさと満月で、当日は絶好の星空は拝めませんでしたが、本島でも満月を避けて街の灯りが少ない場所で撮影すれば、さらに綺麗な星空が望めます。
初めてキャンプをする方へ。テント設営って簡単!
キャンプでチルアウトをするならば、テントは必須です。でも、キャンプ未経験だと「テント設営って難しそう…」とハードルが高く感じてしまうもの。
今回、そんなキャンプ初心者の私のために、沖縄でキャンプイベントやキャンプにまつわる活動を行う「CAMPO」に協力してもらい、簡単なテントセットを選んでもらいました。
初心者であってもチルアウトしやすいようにと、機材について準備の仕方やテント設営方法まで解説してくれました。
テント機材と準備
レンタルの良さは自宅でテントを保管しなくていい、機材用のスペースを確保しなくていい、そして機材をどう選べばいいのかを悩まなくてもいいこと。
GO OUT CAMP RYUKYUには知人と4名で参加したため、2人用のテントを2つ、共有のダイニング用タープを見繕ってもらいました。
また、CAMPOがシチュエーションに合わせて、最適なグッズを提案してくれます。今回は、レジャーシートやレジャーマット、テーブル、ローチェア、ガスバーナー、LEDライト、クーラーボックスなど、一人では選べないものばかり。
私が事前準備したのは防寒着と寝袋ぐらいで、事前にバーベキューをしたいと知人と相談していたため、バーベキュー台や食材は各自で揃えました。
テント設営の方法
レンタルしたテントはQuechua(ケシュア)の「ポップアップテント」。カラーはオレンジで、設置に手間を取らない自立型テントです。
本当に簡単でキャンプ初心者でも1人でできました! その様子もどうぞ。
①カバーからテント本体を取り出します
②ベルトと留め具を外します
③手に力を入れながら、ゆっくり開いたら完成
写真を飛ばしているわけではないですよ笑! 留め具を外せば、落し込められていた力で勝手に開きます。凄まじく楽で簡単でした。
風がないときは中に重しを乗せておけば、テントを固定するためのペグを打ち込まなくても使えます。注意点としては、留め具を外す際に力を抜くとテントが飛び出して体にぶつけてしまうことも。力を入れながら広げていく、これがコツです。
GO OUT CAMP RYUKYUが沖縄暮らしでチルアウトする秘訣を教えてくれた
GO OUT CAMP RYUKYUは参加者の人数だけチルアウトがあり、自由で“ゆるさ”を感じる空間でした。移住1年目の私であっても、暮らしているとつい山や自然について魅力を忘れがちで。少なくとも、キャンプを始めるまでは沖縄に素晴らしい自然環境があることに気が付きませんでした。
県民の森にきてさらに思ったのが、キャンプのような非日常的なシーンでこそチルアウトが感じやすく、日々抱えるストレスのガス抜きにぴったりでした。
新たな土地にきたら、文化の違いや慣れない人間関係から多少なりともストレスをありますよね。自分にとってチルアウトは、沖縄での暮らしをより良くしていく方法なのです。
私のように、ちょっとした生き苦しさを感じたとき、キャンプやチルアウトをしてみませんか。そうすると、もっと沖縄の暮らしに発見が生まれて、より好きになっていきますよ!
会場:沖縄県 県民の森
日程:2019年11月16日(土)・17日(日)
主催:アウトドア雑誌「GO OUT」
公式サイト:http://www.gooutcamp.jp/
住所:沖縄県国頭郡恩納村字安富祖2028
アクセス:那覇空港より約100分
お問い合わせ・予約:098-967-8092
キャンプ料金(1区画):宿泊1,000円・日帰り350円
公式サイト:https://kenminnomori.okinawa/
(取材・文・撮影/蓮池ヒロ)