沖縄移住応援WEBマガジン「おきなわマグネット」

「バス待ってて一発で牧志経由来た時うれしいです」 #0.5ミリの幸せ~お笑いコンビ「しんとすけ」 首里のすけさん~

長濱 良起

2019.11.18

【Profile】首里のすけ(しゅりのすけ):お笑いコンビ「しんとすけ」のツッコミ担当。オリジン・コーポレーション所属。お笑いバイアスロン初代銅メダリスト、同2019銀メダリスト、O-1グランプリ2019準優勝など、県内のお笑い賞レースで上位常連の実力派。愛くるしいキャラクターと全力で言葉をぶつけるツッコミが魅力。那覇市首里崎山町出身。1989年生まれ。琉球大学法文学部卒。本名は多和田眞之介。

ー 0.5ミリの幸せとは ー
沖縄県内で働く人の、「1」ではなく「2」でもない「0.5ミリ」分の幸せを感じる瞬間を5つご紹介する企画。日々のちょっとした幸せの瞬間を抜き取り、それをシェアすることで、みなさまの日常に少しの温もりをお届けできれば幸いです。

今回の「0.5ミリの幸せ」は、お笑いコンビ「しんとすけ」の首里のすけさんが登場。ことし10月に「首里石嶺」から「首里のすけ」へと芸名を変えたばかりのフレッシュさそのままに、芸人としての軌跡や、日常にほんのりと潜む自分だけの小さな幸せを教えて頂きました。

コンビ結成は高校時代 大学受験でお笑い退くも気持ち冷めず

高校時代の文化祭。漫才の舞台上で隣にいたのは、当時のクラスメイトでもあり、10年以上たった今も相方であるしんさんでした。当時からコンビ名は「しんとすけ」。2人の名前をもじったものでした。

首里のすけさん

しんは『お笑いやるんだ!』って感じで、大阪にある吉本興業の養成所に行きました。でも結局、あまり養成所には行かずに、バイトで始めたホストにのめりこんで、ナンバー1か2まで上り詰めてましたけどね。

一方、首里のすけさんは、大好きなお笑いを続けたい気持ちと大学受験に打ち込みたい気持ちのはざ間にいました。そして一度お笑いから身を引く決断をし、勉強に専念することに。

大学には晴れて合格!

首里のすけさん

受験が終わって大学生になったら、またお笑いを始められました。浪人中の後輩2人と一時的に『ちゃりんこ』っていう名前のトリオを組んで、フレッシュお笑い選手権大会(FEC主催)に出ましたそしたら優勝しまして。たまたまその日に、大阪からしんが沖縄に帰って来てたんですよ。

ちょうどまたお笑いに打ち込めるタイミングで、相方・しんと再会したことを機に、しんとすけを再始動させるのでした。

ちなみに「ちゃりんこ」の後輩2人は無事大学に合格し、1人は銀行員に、1人は大阪で「林檎人形・ふじ」として芸人を続けています。

オリジンに所属 「お前たちの体が欲しい」

所属先を選ぶ中でしんとすけはお笑い事務所「オリジン・コーポレーション」の門をたたきました。

首里のすけさんは「先輩が面白いと思いました。こきざみインディアンさんとかベンビーさんとか」と意中だった理由を語ります。

首里のすけさん

オリジンには、一度足を踏み入れると『はい』と言わずして出られないという代表室があるんです。

2人で事務所代表の部屋に入ると、背を向けて座る男性の姿。突然、椅子ごとくるっと回ってこちらを向き、指をまっすぐ差し、こう言うのでした。「オレはお前たちの体が欲しい!」

首里のすけさん

意味が分からなくなって。もう頭真っ白で。神がかってるというか。気付いたら『はい』って言ってました。」オリジン所属しんとすけの誕生の瞬間でした。

「指差されて『お前らの体が欲しい!』って言われて、気付いたら『はい』って言っていました」


一瞬で勝負が付く世界は「脳みそが気持ちいい」

首里のすけさん

漫才がウケた時は、本当に脳みそが気持ちいいんですよ。なんって説明すればいいんだろう。難しいなぁ。考えて考えてネタを作って、ウケるかスベるか分からないまま練習して、いざ舞台に立ったら一瞬で結果が出るじゃないですか。それが気持ちいいんですよ。例えば普通の企業とかだと、企画開発から結果までは何カ月もかかることがあるじゃないですか。でも、お笑いは一瞬なんです。

一瞬で白黒が付く世界に、ハマり続けています。

最近ではこんな展望も。

首里のすけさん

中国語を勉強しています。っていうのも、中国語話す芸人が沖縄にいたら、金儲けできるだろうなーって(笑)。例えば県内の賞レースで優勝しても、それだけでは食っていけるほど収入に結びつかない現状があって。まぁ、お笑いで食べていけてないっていうのは自分のせいではあるんですけどね。だからこそ、自分から積極的に仕掛けていくしかないと考えています。

気持ち良いことに素直に打ち込みながら、戦略的な側面も見せる首里のすけさん。

さて、ふと感じる1ミリにも満たない「0.5ミリの幸せ」、聞かせてもらいましょう!

首里のすけの「0.5ミリの幸せ」5つ

①自宅アパートの狭い駐輪スペースに切り返し2発のみで原付を収納できた時
原付停めるスペースがめっちゃ狭くて、絶対何回も切り返ししてなおかつ原付ごと持ち上げて寄せないと停めきれないんですけど、100回に1回ぐらい奇跡で、切り返し2回で済む時があって、うれしいですこれは。

 

一回こうやって後ろから入れて

 

また前に切り返して、その後自分で持ち上げて寄せないといけないんですよ、普通は


でも、
本当になんでか分からないです。何の条件がそろったのか分からないですけど、こんな奇跡が起こります。

②自宅の間取りを「1K」ではなく「1DK」って呼べている瞬間
(不動産取引表示上で)キッチンの面積が4.5畳を超えると、ダイニングキッチンと呼ぶらしいんですよ。で、僕の家のキッチンがギリギリ4.5畳。だから「1K」じゃなくて「1DK」って言えます。僕は1Kではなく1DKに住んでいます!

ギリで4.5畳の基準をクリアした首里のすけの自宅キッチン。真ん中に古い冷蔵庫が置いてあるスタイル

 

③自宅は完全にアパートなのに外壁に「マンション」の文字を見て優越感
僕の家、絶対にアパートなんですけど、こんなところに『マンション』って書いているんですよね。これも小さな幸せです。外階段脇の小さなパネル。毎日自宅のドアに向かう途中に、少し目をやればほっこりいつでも優越感を得られます。

 

「僕の家、絶対にアパートなんですけど、ここに「マンション」って書いてあるんですよ!」

 

④台風でベランダの壁が吹き飛んで、移動が楽。「逆に毎日感謝できる」
台風でベランダと外の廊下を隔てる壁が吹き飛んだので、鍵開けて家の中に入らなくても、外から入ってべランダで洗濯物が干せます!だから今、移動が楽になって。台風に逆に感謝です。

 

いつも体中の水分をふき取ってくれるオレンジのタオルを手に「スゴイでしょ」と得意顔の首里のすけ

 

⑤国道58号でバスを待っていて、一発で牧志経由が来た時
那覇の中心部行くバスって同じ番号でも『久茂地経由』と『牧志経由』があって、僕はいつも牧志経由に乗るんですよ。でもそれが5回に1回ぐらいしか来なくて。それが一発で来た時めっちゃうれしいです。

 

では、検証してみましょう。


●2019年10月20日(日) 午後3時39分 227番
おもろまち経由

「まさかのおもろまち経由!」


●同40分 52番
美栄橋経由

「『美栄橋経由』って初めて見ましたよ!え!?何それ!?え!?」

 

●同40分 28番 久茂地経由
同45分 120番 久茂地経由
同48分 47番 久茂地経由
同49分 32番 久茂地経由
同51分 63番 久茂地経由
同54分 77番 久茂地経由

 

「ほらね、なかなか来ないでしょ。」

 

最後に問います。首里のすけさん、幸せって何だと思いますか?

首里のすけさん

『幸せとは』って考えられること自体が、すでに幸せなのかもしれませんね。

ライターの一言

長濱良起

首里のすけって名前なのに、天久に住んでるんだなぁと思いました。

 

首里のすけ企画ライブ「HELP!」

12月4日(水)19時開場 19時半開演
@那覇市ぶんかテンブス館 テンブスホール
チケット2000円/小学生以下1000円
問い合わせ先 オリジン・コーポレーション 099-866-6118

 

<取材・文:長濱良起/撮影:蓮池ヒロ>